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モルガンS:日本のM&A助言で首位へ、16年ぶり-野村は逃す

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米モルガン・スタンレーが2013年の 日本企業が関わるM&A(合併・買収)助言業務で首位を獲得する見通 しとなった。同社がトップとなるのは1997年以来。クロスボーダー案件 で存在感を示した。野村ホールディングスは2年連続で首位を逃すこと がほぼ確実となった。

ブルームバーグ・データによれば、モルガン・スタンレーと三菱 UFJフィナンシャル・グループとの合弁会社である三菱UFJモルガ ン・スタンレー証券は41案件を助言(283億ドル相当)し、現在トップ に立っている。これにゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリ カ、野村が続いている。

モルガンSは日本企業が海外での成長を目指す中、クロスボーダー での買収案件を多く手掛けることで国内最大手の野村を脅かす存在とな った。三菱UFJと3年前に始めたパートナーシップは、アベノミクス の下での経済と株式市場の回復を背景に果実を実らせている。モルガン Sは半導体製造装置メーカー東京エレクトロンと米アプライド・マテリ アルズとの経営統合を含め5大案件全てを助言している。

ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真最高経営責任者は 「国内は三菱UFJ、海外はモルガンSと役割分担がうまくできてお り、互いに補完し合っている。両社がタッグを組むことにより獲得でき ている案件が少なからずある」と指摘。また、「ディールがある前向き な相場状況ではこの協業は強みを発揮できる」と今後の見通しについて 言及した。

13年の日本企業関連のM&Aは、ソフトバンクによる米携帯電話会 社スプリントの巨額買収があった昨年からは金額ベースで大きく減少し た。昨年は2476案件(2043億ドル相当)のM&Aがあったが、ことし は11月29日現在で2047案件(1029億ドル相当)となっている。

クロスボーダー案件

ことしは日本企業による米州やアジア企業の株式や資産取得などの クロスボーダー案件が580億ドルと全体の56%を占めた。モルガンSは このカテゴリーで首位。一方、野村は12位だった。日本企業は人口減少 による国内市場縮小などを受け引き続き海外進出を積極化している。

三菱UFJモルガン・スタンレーの中村春雄副社長はブルームバー グ・ニュースの取材に応じ、「日本企業は海外での橋頭堡を確保するた め、またマーケットシェアを伸ばすため、引き続きクロスボーダーでの 買収を行うだろう」と述べた。日本企業は「財務的に余裕があり、キャ ッシュもある。今後も大型案件は増えるだろう」との見方を示した。

半導体製造装置メーカー世界第3位の東京エレクトロンは、ブルー ムバーグの取材に対して電子メールで、三菱UFJモルガンをFA(フ ィナンシャルアドバイザー)に起用したことについて、その主な理由を 「同社の海外案件での実績が挙げられる」と回答した。

三菱UFJモルガンの収益力

1987年にモルガンSに入社し現在は投資銀行本部長でもある中村氏 (50)は首位になった背景として、「十数年から20年の経験を持つバン カーがMD(マネジングディレクター)クラスに多くいる。また、モル ガンSは世界でのM&Aや株式引き受けで常に1位か2位。プロダクト の執行力にも信頼がある」と言及。その上で、「三菱UFJという安心 感」が寄与していると述べた。

三菱UFJは世界的な金融危機がピークに達した2008年10月、経営 難に陥っていた米モルガンSに90億ドルを出資。現在は22%の株式を保 有している。10年5月に両社は合弁で日本に三菱UFJモルガン・スタ ンレーとモルガン・スタンレーMUFG証券を設立した。

三菱UFJモルガンの第2四半期決算(7月ー9月)は手数料収入 やトレーディング益が伸びたことから、純利益が前年同期比で2倍以上 に拡大して346億円となり、野村証券単体の345億円を上回った。

株式業務での野村の優位性

野村HDは11年までの4年間、日本関連のアドバイザリー業務でト ップだったが、12年はソフトバンクの大型案件に絡めなかったことなど が影響し、その座をJPモルガン・チェースに明け渡した。ブルームバ ーグ・データによれば、野村はクロスボーダー案件の助言ではことし12 位。一昨年の3位から落ち込んでいる。昨年は11位だった。

野村は1980年の東京エレクトロンの新規株式上場(IPO)で主幹 事を務め、その後も同社の株式案件で主要な役割を担ってきた。今回の 東京エレクトロンと米アプライド・マテリアルズとの経営統合案件では FAに起用されなかった。

野村は10億ドルに上る経費削減策として海外で人員を削減。グロー バル市場でのプレゼンス向上が課題となっている。永井浩二CEOは9 月、リテールや法人業務に携わるバンカーやトレーダーなど入社4年目 の成績優秀な人材、上位1割程度(20-30人)を毎年海外に派遣する新 人教育制度を導入する方針を社内で発表した。

山下兼史広報担当は、「海外展開を目指す顧客が増えており、ニー ズに応えるために体制を強化している」とし、野村の「パイプライン (検討中の案件)も増加している」と述べた。同社のM&Aアドバイザ リーでの順位についてはコメントを控えた。

ブルームバーグ・データによれば、野村HDは株式と債券の引き受 け業務において13年はこれまでのところトップ。モルガンSは株式業務 で3位、債券では2位についている。野村は株式では02年以降首位を維 持している。

投資銀行業務、さらに強化

日本ではゴールドマンなどの外資系証券に加え、三井住友フィナン シャルグル―プなどのメガバンクが投資銀行業務や日本株営業で大量に 人を採用するなど、競争は一層激しくなってきている。中村副社長は、 三菱UFJモルガンは「香港、ロンドン、ニューヨーク、中南米、新興 国にバンカーが沢山いるなどグローバル・フレーバーが強い」と述べ、 日系証券との差異化を強調した。

同社は投資銀行業務をさらに強化していく方針だ。中村氏は今後の 陣容の拡大について、「優秀な人がいれば採用していく。経験者も若手 も取る」との考えを明らかにした。同社では現在約400人のバンカーら が勤務している。

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