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高頻度トレーダーの「エルム街の悪夢」は市場の公平守る監視役

高頻度トレーダーらの悪夢はイリノ イ州、シカゴの郊外の町ウィネトカのエルム街にある。1階がマニキュ ア・ペディキュア・サロンのアパートのような建物の2階に、ナネック スのオフィスはある。

そこで4つのコンピューターモニターを見つめているのが市場デー タ提供会社のナネックスを創業したエリック・スコット・ハンセーダー 氏だ。同氏はミリ秒単位での米国株の売り買いのクオートを示す三角と 点の模様から、隠された違法な取引を読み取ろうとする。

従業員8人のナネックスが作る取引チャートは監督当局からも注目 されている。一部のトレーダーはナネックスが根拠のない結論を引き出 し陰謀説を広めると非難する。

ハンセーダー氏に言わせれば、取引データによって作り出される映 像は高頻度トレーダーらが市場の規則を悪用し無法地帯で利益を上げて いることを示すものだ。ナネックスのリポートとチャートをプロパガン ダと取る業界人は多いが、同社は株式市場の根本的な公平さについて議 論を呼び起こす一助だと考えている。

ハンセーダー氏(51)は無人島で孤立した少年たちを描いたウィリ アム・ゴールディングの小説「蠅の王」に言及し、市場もそれと同じだ と指摘。「親がそば見てないと、無茶苦茶になる」と述べた。

1秒に1000万以上のクオートも

1秒に200万の売り買いの注文が出せるような現在の市場では、特 にこの言葉が当てはまると同氏は考えている。1990年代には1秒に出せ る注文は1000程度だった。ナネックスによれば、オプション市場では1 秒に1000万以上のクオートが出せる。ナネックスのビジネスはデータを 処理して「ティッカー・プラント(マーケット・データ提供基盤/配信 システム)」でユーザーに配布することだ。

ナネックスは10月22日の米雇用統計発表前に不審な取引を発見し た。10月16日には欧州市場が開く直前に4億ドル余りの注文を検出し た。EミニS&P500指数先物の注文は売りが本格的に始まる前に取り 消されたという。

同社は「パンサー再登場か」というリポートを出した。米商品先物 取引委員会(CFTC)がパンサー・エナジー・トレーディングの「ス プーフィング」を摘発し制裁金を科すとともに利益の返還を命じた事件 をもじった。スプーフィングは匿名で注文を出してすぐに取り消し、需 要があるかのように見せかけ価格をつり上げる行為。

「誰がやったかを当局が発見するには1時間以上かからないはず だ。その目的も1日あれば分かるだろう」とナネックスは10月16日のリ ポートで書いている。

ハンセーダー氏は自分たちの会社を、巨人ゴリアテと戦うダビデの ようなものだと言う。資金力で米株市場を支配する高頻度取引 (HFT)会社を巨人にたとえた。HFT業界はハンセーダー氏がチャ ートから誤った結論を導き出していると反撃する。

ニューヨークの自己勘定取引会社バーチュ・ファイナンシャルのパ ートナー、クリス・コンキャノン氏はナネックスの宣伝文句は「不正確 な情報で市場をより良くすること」だと揶揄(やゆ)した。同氏は米証 券取引委員会(SEC)で法務担当官を務めた経歴を持つ。

一方、ハンセーダー氏はウィネトカのオフィスで今までに出した 約3000の取引調査リポートを示した。分析の内容を一度も撤回したこと はないという。

原題:High-Frequency Traders Meet Nightmare on Elm Street With Nanex(抜粋)

--取材協力:Dave Michaels、Sam Mamudi. Editors: Philip Revzin, Jeremy Herron

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