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競馬で予測力鍛えた若手エコノミスト、米経済予想の精度首位

フランス人エコノミスト、クリスト フ・バロード氏が予測することに情熱を持ち始めたのは、10代のころに 父親とニース近郊の競馬場で勝ち馬予想に熱中した経験がきっかけだ。

思い出に残る2002年のレースでは、配当の低い本命馬と配当の高い 穴馬に賭けて合計100ユーロの元手を2倍に増やした。穴馬が2着にな ったのが大きな勝因だった。当時16歳だったバロード少年はこんな成功 体験を踏み台に、スポーツで最も利益の出る賭けを選ぶための初歩的コ ンピューターモデルを作った。20歳になるまでには、友人と共にテニス や欧州サッカーの試合だけでなく、選挙の結果も予測するギャンブラー 向けのウェブサイトを立ち上げた。

バロード氏(27)は「私の最初のアイデアは、本命と大穴への賭け を比較し、勝ちをどう予想できるかを検証することだった。システム化 を試みたわけで、極めて簡単なモデルだった」と振り返る。

その後バロード氏は予測力を高め、ブルームバーグ・マーケッツ誌 がまとめた今年の米経済予測精度ランキングで遂に首位の座を獲得し た。同誌1月号が伝えている。ランキング2位は独コメルツ銀行のエコ ノミスト、ベルント・ワイデンシュタイナー氏とクリストフ・バルツ氏 のドイツ人チーム。

緊縮策は是か非か

現在、マーケット・セキュリティーズ(パリ)のチーフエコノミス トを務めているバロード氏とコメルツ銀のドイツ人チームは番付1、2 位に並んだが、米国の財政緊縮策に関する見方はかけ離れている。バロ ード氏は2013会計年度の赤字削減が米景気回復の流れを阻害しかねなか ったと論じる一方、ドイツ人チームは歳出削減を成長に向けた良い動き だと評価する。

ブルームバーグ・マーケッツ誌の米経済予測精度ランキングは、10 月1日までの2年間のデータを使い、住宅着工件数や失業率、国内総生 産(GDP)など15の米経済指標に関する101人の予測を基にまとめ た。ユーロ圏経済のランキングでは、同期間の消費者物価指数 (CPI)や工業生産など11の指標をカバーする74人の予想を対象にし た。

バロード氏は11月半ば時点で、13年通期の米成長率が約1.6%とな り、12年の2.8%から減速すると予想している。緊縮策でリセッション (景気後退)が今年半ばまで長引いたユーロ圏の警告に米国の政治家は 耳を傾けず、富裕層増税と強制的歳出削減を認めたため、成長に重しが かかっていると指摘。「性急で行き過ぎた緊縮策は問題だ」と言う。

ただ、政治家が歳出削減を最小限に抑え、10月のような政府機関の 一部閉鎖を繰り返さなければ、14年の米経済成長率は3%に加速すると バロード氏は予想する。14年に雇用が月間約20万人増加し、米連邦準備 制度理事会(FRB)が債券購入を継続することが成長のけん引役にな るとみる。

傍流を吟味

同氏は予測を立てるのに当たって新たなデータを探すため、他のエ コノミストによる主流から離れた予想を吟味してみるのが好きだ。11年 にあるエコノミストが米電話会社ベライゾン・コミュニケーションズの ストライキを根拠に低い雇用予想を出し、それが正確だったことが判明 して以来、バロード氏はストの影響も加味するようにした。「コンセン サスから外れた数値があれば、その理由を理解したい」のだという。

一方、コメルツ銀のワイデンシュタイナー氏(43)とバルツ氏 (46)は緊縮策がアイルランドやスペイン、米国などの諸国には適切な 処方箋だと指摘する。両氏は12年度にGDP比6.8%だった米国の財政 赤字が14年度には3%に縮小し、景気加速に向かう準備が整うと見てお り、不動産市場の回復による建設増加や世界的な景気改善に伴う輸出拡 大の見通しを背景に、14年の米成長率を2.8%と予測している。

欧州についてワイデンシュタイナー氏は、過去の緊縮策のおかげで ドイツは他国をリードすることができたとみる。03年のドイツの財政赤 字はGDP比4.2%だったが、07年までに黒字に転じた。その後ドイツ 経済はユーロ圏の主要国をおおむね先導するポジションにあり、13年4 -6月(第2四半期)の成長率は0.7%となった。「ドイツ人エコノミ ストとして、われわれは赤字削減は良いことだと考えている」とワイデ ンシュタイナー氏は話す。

ユーロ圏

ユーロ圏経済の予測精度ランキングでは、JPモルガン・チェース に所属する英国人エコノミスト、デービッド・マッキー氏(55)が首位 だった。同氏は14年のユーロ圏経済が通期で3年ぶりのプラス成長にな ると予想する。欧州中央銀行(ECB)が12年9月に国債購入の用意が あると表明し、欧州景気が回復軌道に乗ったことが同氏の見通しの基盤 だ。赤字削減圧力の弱まりや低インフレによる購買力の改善、輸出需要 の伸びを背景に1.3%成長を見込むという。

中国経済の予測精度ランキングでは、ゴールドマン・サックス・グ ループの宋宇氏が前年に続いて首位だった。

今回のランキングで首位に立ったエコノミストらは、米国やユーロ 圏、中国にとって14年はより良い1年になると見ながらも、伸びは小幅 にとどまり、金融危機から6年目の主要国経済が依然、本格回復の途上 にあることが浮き彫りになると予想している。バロード氏も「世界経済 は改善するだろうが、非常に大幅な加速は期待できない」と語る。

原題:Horse-Gambling Frenchman Parlays System Into Best U.S. Forecasts(抜粋)

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