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【クレジット市場】アベノミクスがリート起債後押し、3年ぶり高水準

日本版不動産投資信託(Jリート) の起債が勢いを増し、今年は過去3年間で最高の水準となっている。安 倍政権の下で大胆な金融緩和が進み、オフィスビルなど不動産市況が回 復。調達コストの低下や不動産投資の増加をもたらし、Jリートの起債 を後押ししている。

ブルームバーグ・データによると、今年これまでのJリート投資法 人の起債額は958億円と前年比33%増。2010年1-11月(1625億円)以 来の高水準で、増加率は日本企業全体(5.9%増)の5倍以上のペース となる。11月に起債したジャパンエクセレント投資法人の新発5年債 は、対円スワップレートのスプレッドが5ベーシスポイント(bp) と、2年前発行の5年債48bpに比べ、大幅に低下した。

総合不動産サービス大手ジョーンズラングラサールのリポートで は、1-9月の商業用不動産投資で、東京は世界で3番目に取引量が多 い。アベノミクス効果で景況が改善、オフィス需要が高まっており、10 月末の都心5区の平均空室率は7.56%と4年4カ月ぶりの水準まで低 下。また20年の東京五輪開催が決まり、国際オリンピック委員会 (IOC)の試算では、不動産部門には約1520億円の経済効果がある。

起債額を押し上げる要因となったスプレッドの縮小について、みず ほ証券の並木幹郎アナリストは、同投資法人の例を挙げながら、「オフ ィス市況が回復する中、収益性の安定が評価されている」と説明。さら に、債券市場全体でスプレッドが低下傾向にある中で、「まだ5bp乗 っていることも投資対象として注目されている」との見方を示す。

投資意欲

ジャパンエクセレントの運用会社、ジャパンエクセレントアセット マネジメントの財務経理部長、阿南建太氏は今回の起債について「タイ ミングはとても良かった」と述べた。同リートは東京都心のオフィスビ ルを中心に投資し、主要テナントには東芝情報システムなどがある。

農中信託銀行のシニアファンドマネジャー新海秀之氏は、起債増加 の背景について、利回り低下に加えて「不動産価格が上がっていく可能 性があるので、今のうちに買っておこうという思惑がある」とし、物件 取得に向けた資金需要が旺盛な面があると指摘。さらに取得物件の拡大 で分配金が増加し、リート市況改善という好循環をもたらしていると話 した。

三井住友トラスト基礎研究所のリポートによると、6月末時点のJ リートの運用資産規模は10.4兆円と初めて10兆円を突破し、前年同期比 で約2割増加した。Jリート最大手の日本ビルファンド投資法人は今年 に入り、ソニー保有の「ソニーシティ大崎」やパナソニックの「東京汐 留ビル」を共同取得している。

投資意欲の高まりを受けて不動産価格は上昇。米不動産調査会社の リアル・キャピタル・アナリティクス(RCA)のデータによると、都 心オフィスビルの投資利回りを示すキャップレートは12年1月の5.4% をピークに低下傾向となり、今年10月は4.89%。同レートは賃料収入を 物件価格で割った数値で、低いほど物件価格が高いことを示す。

GPIF

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用のあり方など を議論する政府の有識者会議は20日、国内債が6割を占める資産構成を 見直し、リートや不動産、インフラ、プライベートエクイティ(PE) など新たなリスク資産への投資などを求める提言をまとめた。

野村証券のリサーチアナリスト、荒木智浩氏は20日付のリポート で、「投資対象の多様化や地価回復への貢献といった大義名分はある」 と、リートへの資金流入の可能性に期待を表明している。

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