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JFKが暗殺された50年前のあの日、NY証取で起きたこと

50年前の11月22日、ニューヨーク証 券取引所のトレーディングフロアで、トレーダーだったマイケル・ロビ ンズさんはざわめきに気付いた。あるテキサス企業のブースで始まった ざわめきは、徐々に大きくなっていった。当時30歳だったロビンズさん は、それが殺到する売り注文の音だと気付いた。

証券会社トムソン・マッキノンで働いていたアーサー・キャッシン さんは鳴り響く電話を取った。ニュースティッカーに何かニュースが流 れたかとの取引所フロアにいたブローカーからの問い合わせだった。大 統領に何か起こったらしいとのうわさを耳にしていたが、ブローカーに はニュースはないと答えた。

当時のダウ・ジョーンズ社のニュースを伝えるティッカーマシンは 冷蔵庫ほどの大きさだった。それが音を出しニュース速報の紙を吐き出 し始めた。このマシンは重要なニュースだとベルが鳴る。企業決算では ベルは1回、重要な経済統計では2回だ。1963年11月22日のこの時は3 回ベルが鳴った。21歳だったキャッシンさんが電話を切った直後だっ た。

ロビンズさんは、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されたこの 日、多くが変わってしまったと話す。ニューヨーク証取は世界そのもの だった。テキサスの人々も、ニュースが伝えられた時ニューヨーク証取 のフロアにいた人も、決してこの日のことを忘れることはないとロビン ズさんは語った。

ダウ工業株平均はケネディ大統領就任から63年11月初めまでに19% 上昇。ロビンズさんによれば、22日当日の午前、ニューヨーク証取での 取引は静かだった。前日21日の木曜日、ダウ工業平均は1.3%下げてい た。

雪崩のような売り

ニューヨーク時間22日午後1時29分、大統領の乗った車はダラスに あるテキサス教科書倉庫の建物に近づいていた。E・H・スターンのト レーダーだったドナルド・ストーンさん(当時39歳)は、取引所の会員 制レストランで昼食を取るためエレベーターに乗った。いつものように チキンサラダを注文すると、1人の男がテーブルの間を走り回っている のが目に入った。

呼び止めて聞くと、その男はケネディが撃たれたと言う。ストーン さんがケネディ大統領かそれとも大統領の実弟のロバート・ケネディ司 法長官のどっちだと尋ねた。男の答えは大統領だった。ストーンさんは 大急ぎでトレーディングフロアに降りた。そこでは1人が叫んでいた。 「大統領が撃たれた」。そして怒涛(どとう)の売りが始まった。

22日午後の取引は混乱に次ぐ混乱だった。その日のダウ工業株平均 は2.9%安で引けた。非公開の記録によれば、当時のニューヨーク証取 副会長だったウォルター・N・フランク氏は、こんな雪崩のような売り は見たことがないと口にしたという。

原題:Day JFK Died We Traded Through Tears as NYSE Shut After Selloff(抜粋)

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