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イオンリート上場、初値9.5%高の11.5万円-小売初、内外店舗投資

流通最大手のイオンを設立母体とす る不動産投資信託(Jリート)のイオンリート投資法人が22日、東京証 券取引所に上場し、公募価格(10万5000円)を9.5%上回る11万5000円 の初値を付けた。小売業界のリート参入は初めてで、国内外の店舗網と いう大きな資産を裏付けにし、借金に依存しない資金調達に乗り出す。

午前の取引では上げ幅を縮める場面もあったが、その後はやや戻し て、公募価格比8.2%高の11万3600円で初日の取引を終了した。

同投資法人は、上場に伴い投資家から集めた資金や銀行からの借入 金などを投入して、イオングループの国内大型ショッピングセンター や、経済成長の見込めるマレーシアの商業施設など計17物件を1589億円 で取得する。テナントとして入居するイオンから得た賃料を原資とし て、投資家に配当する仕組みだ。上場当初の資産運用規模としては今年 3番目の大型案件。

SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリストは、同投資法人 について「円建ての金融商品にはない高い配当利回りが魅力的」と述べ た。公募価格を基に計算した年間配当利回りは約4.6%で、東証 REIT指数の3%台を上回る。ポートフォリオの運用利回りも7% と、他の商業施設系2銘柄(日本リテールファンド5.16%、フロンティ ア不動産5.91%)よりも高い(アイビー総研調べ)。

リートとしては小口となり、農中信託銀行の新海秀之シニアファン ドマネジャーは、知名度の高い企業なので、「個人投資家に持ってほし いという意図の表れだ」とし、「市場にも高く受け入れられると思う」 と話す。不安材料は来年4月の消費増税。同氏は配当原資の賃料収入に 影響はないものの、「消費に反動減が出てイオン本体の株価が下がれ ば、リートも大丈夫かとなる」と相場下落の可能性を懸念する。

拡大戦略

拡大戦略の結果、負債が膨らんでいるイオンにとって、リート上場 は「メリット以外の何物でもない」と、SBI証券の藤本氏は評価す る。同氏は増資は希薄化懸念があるのに対し、「リートを活用すれば株 価が下がることもない」と指摘。資産売却を通じて、負債の膨らまない 新たな資金調達手段を得たことで、「国内外の成長市場への投資が加速 する」との見方を示した。

イオンは00年代にヤオハンやマイカルなど経営難の流通大手を傘下 に収め、今年もダイエーを子会社化し、ピーコックストアを買収。有利 子負債は2月末時点で1兆6390億円に膨らみ、自己資本比率は18%と10 年前の21.2%を下回るなど、財務体質の改善が課題だ。スタンダード& プアーズによる格付けはBBBプラスと、ライバルのセブン&アイ・ホ ールディングスのAAマイナスより4段階低い。

同投資法人の目論見書によると、イオングループの13年2月期の連 結営業収益は5兆6853億円で国内最大。小売事業では約1万4400店舗を 運営し、国内外で157のショッピングモールを開発・運営している。

情報開示

今回のリート上場には課題も残る。通常はリート投資法人の設立母 体(スポンサー)は、賃料を払うテナントと異なるが、今回は両者とも イオン。投資法人とスポンサー、テナント間の独立性が問われ、投資家 利益をどう保護するかが課題との指摘もある。

Jリートの調査・分析を行うアイビー総研の関大介社長は、「この ようなスキームだと、物件の売却価格やテナントの賃料がスポンサーや テナントの意向に左右されるのではないかとの懸念が持たれやすい」と 話しており、「投資家に対ししっかりした情報開示が必要だ」と強調し た。

ドイツ証券のアナリスト、大谷洋司氏は「利益相反の問題がある」 と指摘し、外国人投資家にとってはネガティブな材料だと話す。そうし たリスクがある分、「オフセットするため、公募価格を安めに設定して 利回りが確保された」との見方を明らかにした。

イオンリートの上場は今年、6銘柄目。5年ぶりに新規上場 (IPO)があった昨年の4銘柄を上回った。1-10月のJリートの公 募増資やIPOの合計額は8877億円と、昨年通年(4697億円)の2倍近 くに達している(不動産証券化協会調べ)。大胆な金融緩和でデフレ克 服を掲げる安倍政権の発足で不動産市況が好転しているのが背景にあ る。

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