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札幌で鳴り響くイタリア1000年の技-輸出に活路で「弔鐘」免れる

イタリアの家族経営の企業として最 も古いマリネッリ社。ここでは1000年もの昔からほとんど変わらない工 程で、ブロンズの鐘が鋳造されている。変わったのは、この鐘が鳴る場 所だ。

ローマから南東に約220キロの小さな町、アニョーネにあるこの会 社では、売上高に占める輸出の割合が20%と、10年前の4倍になった。 イタリアのリセッション(景気後退)が3年目に入り、海外売り上げへ の依存は高まるばかりだと、この鋳造会社を兄と経営するパスクアレ・ マリネッリ氏(43)は語る。

鐘は既にニューヨークの国連ビル、カトリックの総本山であるバチ カン、ピサの斜塔などにかかっているが、「イタリアではこうした鐘も 含め、そこに支出するかどうかの決定は景気が良くなるまでお預けだ」 と同氏は語る。マリネッリ社が弔鐘を免れ「1年を通じて事業が回って いくのは、外国からの注文のおかげだ」という。

第2次世界大戦後の記録としては、現在のイタリアの景気低迷は過 去最長となった。同国の小規模企業団体CGIAによれば、過去5年の 間に少なくとも3万7000社の家族経営企業が事業をたたんだ。経済協力 開発機構(OECD)の19日のリポートによれば、ユーロ圏で経済規模 が3位のイタリアは今年の成長率がマイナス1.9%の見込み。来年はプ ラス0.6%に回復するもようだが、個人消費は変わらず、輸出が「外需 の加速に伴ってさらに勢いを増す」見通しだ。

ニューデリー、赤道ギニア、札幌

マリネッリ氏は鐘を売ろうと、ニューデリーや赤道ギニアまで足を 運んだ。鐘の重さは100キログラム、値段は約3000ユーロ(約40万 円)。これに設置費と配送コストがかかる。札幌にある北海道立総合体 育センターも顧客リストに加わった。伝統的な販売先はカトリックの教 会なので事業が途絶えることはないとはいえ、増えているのは国外から の注文だ。

マリネッリ兄弟はアニョーネでの鐘作りは1000年ごろに始まったと 語る。兄弟が03年に叔父から引き継いだ事業は、家族経営としては世界 で2番目に古い。最も古い歴史を持つのは日本で718年に創業した旅館 の法師(石川県小松市)。

鐘を海外輸出することでマリネッリ社は黒字だが、イタリア国内の 売上高減少で今年の業績は前年並みだと兄弟は語る。兄のアルマンド・ マリネッリ氏(53)は「喜びと回復、連帯の音色をいつまでも鐘が響か せてほしい」と語った。

原題:Oldest Italy Bell Maker Avoids Death Knell via Exports: Economy(抜粋)

--取材協力:Flavia Rotondi、Vernon Silver. Editors: Alessandra Migliaccio, Rodney Jefferson

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