コンテンツにスキップする

豊洲新市場:大手ゼネコン入札辞退、大半不調-コスト高が影響か

東京都が進めている中央卸売市場築 地市場の豊洲新市場への移転建設工事で、入札結果が19日公表された。 事前に参加の意向を示していた鹿島、清水建設など大手ゼネコンが金額 面で折り合わず、入札を辞退。4事業のうち3件が不調に終わった。

震災復興需要に加えて、安倍政権が公共事業拡大に舵を切ったこと から建設コストが上昇。今回の入札不調につながった可能性がある。

都中央卸売市場財務課長の石井浩二氏は、電話取材に対し、大手ゼ ネコンなどは「入札参加する意向を示していたが、最終的には辞退し た」と述べ、都の提示していた予定価格では入札が成立しなかったこと を明らかにした。その背景について「建築資材費や人件費の高騰などが 影響したと推測される」との見方を示し、要因を分析したうえで、早期 に再入札の実施を検討するという。

東京都が19日、ホームページで公表したところによると、大成建設 や竹中工務店などの共同企業体が意向を表明していた水産卸売場棟のほ か、鹿島を中心とした企業体が予定していた青果棟、清水や大林組など が予定していた水産仲卸売場棟は、いずれも入札不調に終わった。これ ら3件の予定価格は計628億円だった。鹿島広報室は「個別の案件につ いてはコメントできない」としている。

落札したのは、衛生検査所工事の1件のみ。落札したのは、関東・ 鍛治田・川土・国際建設共同企業体で、69億円で落札した。

コストプッシュ

日本建設業連合会は、建設資材価格は11年3月の東日本大震災発生 後、工事被災や物流網寸断などによる供給不足から上昇し、12年後半か らは復旧・復興事業の本格化で上昇が鮮明と指摘。同連合会の資料によ ると、建設用材料価格指数(10年=100)は今年第2四半期(4-6 月)で104.6となった。

クレディスイス証券の望月政広氏は、ゼネコンは「今後も安値での 受注はしないだろう」と指摘。野村証券のアナリスト、福島大輔氏は建 築資材や労務費高騰の背景について、「震災復興やアベノミクスの第2 の矢である公共事業の拡大」を挙げ、「にわかに膨らんだ需給ギャップ で供給不足が顕在化した」と話す。

安倍政権は、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権から方 針を転換。政権発足直後の今年1月に編成した2012年度補正予算では、 国費のうち半分の5.2兆円を東日本大震災の復興対策やインフラ老朽化 対策など公共事業に投入した。今年度一般予算でも公共事業関係費が前 年度当初比16%増の5.3兆円と大幅に増加。今年7-9月期の実質国内 総生産(GDP)では公共投資が前期比6.5%増と堅調に推移した。

東京五輪

20年に開催が決まった東京五輪も、コスト上昇に拍車を掛けている との見方がある。福島氏は、五輪に伴う建設ラッシュで労務費が一段と 上がると見越して、発注者は「建設コストを確定させようとして前倒し 発注する動きがある」と話す。

建設コストの上昇は住宅価格にも波及。不動産経済研究所による と、10月の首都圏新築マンション価格は平均で4909万円と前年比16.4% 増加した。デフレ克服を目指す安倍政権だが、建設業界に限っては「コ ストプッシュのインフレになりつつある」と、クレディスイスの望月氏 は指摘する。

東京都中央卸売市場の資料(11年2月現在)によると、豊洲新市場 の移転整備には合計で約3926億円の経費がかかると見込まれている。そ の内訳は、建設費が約990億円、土壌汚染対策費が約586億円、土地取得 用地が約1980億円など。

--取材協力:下土井京子 Editors: 持田譲二, 平野和

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE