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【コラム】金融政策が勝者と敗者を決定、イエレン氏の証言

米連邦準備制度理事会(FRB)の 次期議長に指名されているジャネット・イエレン氏は先週の指名承認公 聴会で、米金融政策が米国社会の一部の層を他の層よりも優遇している かとの質問を、上院銀行委員会の多数の委員から受けた。もちろん、イ エレン氏の回答は7月のバーナンキ議長と同じで、金融当局は全ての米 国民のために最善の政策を取るというものだった。しかし、イエレン氏 の回答は金融政策が相対的な勝者と敗者をつくり出していることを示し た。

イエレン氏はまず、現行の米金融政策の目的は「金利に敏感なセク ターでの消費を促すために金利を押し下げることだ」と説明した。これ は他の分野よりも自動車や住宅セクターを支援するものだ。さらに、住 宅ブーム当時にも当局が異例の低金利政策を取っていたことを考える と、住宅の急速な値上がりに対する当局の責任がどの程度あったのかと の疑問を生じさせる。

証言の中ほどでイエレン氏は、当局の資産購入と短期金利をゼロ付 近に維持する約束が株価を押し上げていると発言した。同時に、当局の 政策の結果としての住宅ローン金利低下とそれに並行した住宅価格上昇 によって米国民が恩恵を享受したとも述べた。しかし住宅ローン金利低 下で最も直接的に恩恵を受けるのは借り換えのできる位置にいる恵まれ た層だ。住宅値上がりによって評価額が多くの借り手の債務を上回った ことは朗報なものの、これが支出を増やすかというと疑問だ。

株式も住宅も保有していない数千万の米国民も、相対的に豊かな人 々がさらに豊かになったことで間接的な恩恵を受けたかもしれない。し かしそれは富裕層の減税で貧困層も潤うというのとの同じ理屈だ。ま た、資産価格上昇と実質金利の低さは、同じレベルの老後を確保するた めに勤労者が所得のより大きな部分を貯蓄しなければならないことを意 味する。

立法府も無策

固定利付き商品で老後を賄おうとする人々についての懸念に対して イエレン氏は、「低金利は貯蓄者に打撃を与える。それは確かに真実 だ」と認めた。しかし、イエレン氏がシカゴ連銀のエバンス総裁と同じ 考えであるなら、一部の貯蓄者への打撃は織り込み済みかもしれない。 エバンス総裁はマイナス金利による富の収奪の脅威が支出を回復させ、 リスクテークを通常水準に戻すために必要だと論じていた。

富裕層は確かに、必要以上の安全資産を保有しているかもしれな い。しかし消費者金融会社バンクレートの調査によれば、緊急の事態と なったとき6カ月間を乗り切れるだけの貯蓄のある人は米国民の4分の 1に満たない。このような人々に対してマイナス金利によって消費を促 そうとするのは、尻をたたき続ければ士気が上がるというのと同じな気 がする。

当局者らのこれらの発言は、連邦準備制度の高官らが一部の人を豊 かにすれば彼らがその富を消費に回してくれると期待し、主にこの効果 によって景気浮揚が可能だと考えていることを示唆する。この戦略は恐 らく、何もしないよりはましだろう。しかし、多くの上院議員らが金融 政策の資産配分効果に懸念を抱くのも納得できる。政策のこのような副 作用を議会は幅広い減税や、米財務省による全国民への小切手送付で相 殺することが可能だが、残念ながら現時点でこれらは議題に上がってい ないようだ。

(マシューC・クライン氏はブルームバーグ・ビューのコラムニス トです。コラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:{Yellen Says, Yes, the Fed Makes the Rich Richer }(抜粋)

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