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【クレジット市場】ソフトバンク級の取引必要、外国銀行の融資増に

外国銀行の日本での融資増加にはソ フトバンクによる米スプリント買収のような大型クロスボーダー案件が 必要だ、とクレディ・アグリコル銀行は指摘した。カネ余りの邦銀が貸 し出し競争を繰り広げ、外銀は日本での融資が低迷している。

クレディ・アグリコルの小田智之シンジケーション部長は「邦銀が 得意とするような国内向けの融資であれば、われわれが活躍する場面は 少ない」と指摘。外銀にとって「今後もアセットの伸びる要因というの はクロスボーダーといった取引に限定されるだろう」と述べた。

日銀によると外銀の日本での円建て貸出平均残高は10月に、前年同 月比8.1%増の2兆2984億円と2009年1月以来のプラスに転じた。ソフ トバンク向け協調融資2兆円が9月下旬にあり、ドイツ銀行やクレデ ィ・アグリコルなど多くの外銀が参加したことが寄与した。半面、銀行 貸出平均残高に占める外銀シェアは08年のリーマンショック直前 の1.9%に対して足元では0.6%に低下した。

大胆な金融緩和や積極財政を柱とするアベノミクスの下でも、企業 の資金需要は盛り上がらず、7-9月期の実質国内総生産(GDP)は 前期比年率1.9%増に減速。預貸ギャップは6月に過去最高の189兆円ま で膨らみ、貸し出し競争の激化から預貸利ザヤが縮小している。

スタンダード&プアーズ(S&P)主席アナリストの吉澤亮二氏 は、「貸出事業は外銀の目線からいうと収益性は低い」と指摘。手数料 ビジネスなどが伴わない限り、外銀にとっては、日本国内向けの融資は 今後も「残高がなかなか膨らんでいかない可能性が高い」と話す。

ソフトバンク

外銀が対日融資を減らす中、今回のソフトバンク向け融資に食い込 めた背景について、メリルリンチ日本証券の銀行担当アナリスト、大槻 奈那氏は、日本の案件としては過去最大級の規模のため、参入余地があ ったと指摘。さらに「クレジット的にそれほど高い企業ではないので、 外銀の間尺にも合う」と説明した。

スプリント買収の完了を受けて、ムーディーズ・インベスターズ・ サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の両社は7月、 債務負担増を理由に、ソフトバンクの格付けを投機的等級に引き下げ た。この結果、同社向け2兆円融資の平均金利は1.4%と、国内銀行の 長期貸出金利0.909%(8月時点、日銀調べ)を上回っている。

ブルームバーグ・データによると、日本企業による外資買収案件は 今年これまでに375.2億ドル(593件)と、前年同期の1099億ドル(742 件)を下回っている。クレディ・アグリコルの小田氏は、外銀の融資は 「クロスボーダーの案件が今後、対象になる」と、注目している。

低収益

リーマンショックを受けて、欧米の銀行は経営健全化に向けて資産 圧縮に着手しており、日本での円建て貸出残高は同ショック直前の08年 8月の7兆6364億円から、7割減少。クレディ・アグリコルの小田氏 は、資産圧縮の動きは「12年にほぼ終えている銀行が多い」と指摘し、 融資を伸ばすだけの経営体力が付いてきたと話す。

にもかかわらず、貸し付けが低迷しているのは収益を重視する外銀 にとって、日本市場の利ザヤが低すぎるためだ。邦銀の国内業務部門の 総資金利ザヤは12年度まで7年連続で縮小し、0.14%と統計をさかのぼ れる1997年度以降で最低(全国銀行協会調べ)。さらに外銀の場合は、 相対的に調達コストが高く、邦銀以上に利ザヤが圧縮される。

邦銀は預金で融資を賄えるのに対し、外銀の多くは市場調達に頼ら ざるを得ず、3カ月の定期預金金利(0.025%)と円建てロンドン銀行 間貸出金利(LIBOR)3カ月物(0.143%)を比べると、金利差 は11.8bp(ベーシスポイント、0.01%)ある。

手数料ビジネス

収益性の低い融資業務に代わって、外国金融機関が日本で力を入れ ているのが財務アドバイザリーなど、リスク資産を持たずに手数料が得 られる投資銀行業務だ。S&Pの吉澤氏は、外銀が日本で融資業務をす るのは、手数料収入をもたらすような「付随ビジネスを期待しているか らだ」と話す。

ソフトバンク向けの協調融資に参加したドイツ銀行やクレディ・ア グリコルなど多くの外国金融機関は、スプリント買収に関する財務アド バイザーにもなった。ブルームバーグ・データによれば、今年これまで の日本企業の絡む外国企業買収案件の財務アドバイザー・リーグテーブ ルで、1位はモルガンスタンレー、2位ゴールドマンサックス、3位バ ンク・オブ・アメリカ・メリルリンチと外資が上位を占める。

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