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安倍首相:保守カラーを抑制、靖国参拝も自重-デフレ脱却を最優先

安倍晋三首相が「日本経済の再生」 を前面に掲げて二度目の政権を担当することになってから来月で1年。 今の臨時国会を「成長戦略実行国会」と位置付けて経済優先を標ぼう、 靖国神社参拝や憲法改正など保守色の強い政治課題には抑制気味の政権 運営を続けている。

野党時代に行われた昨年9月の自民党総裁選では憲法改正を掲げた ほか、慰安婦募集の強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官(当時) の談話に代わる政府見解を作成する考えも明言するなど保守色を前面に 出して戦ったが、首相就任後、こうした政策への取り組みはスローダウ ン。靖国神社参拝も見送り続けている。

連立政権のパートナーである公明党の山口那津男代表は18日のイン タビューで、安倍首相の政権運営について「非常にバランスを取りなが ら慎重に政権運営に当たってきた。今のところうまくいっていると思 う」と指摘。今後最優先で取り組むべき政策についても、来年4月から の消費税率の8%への引き上げに伴う景気への悪影響を克服して、「デ フレ脱却への勢いをそがないように施策を推進していくことだ」との認 識を示した。

臨時国会には、産業競争力強化法案、国家戦略特区法案など成長戦 略関連の法案を相次いで提出。安全保障関連では国家安全保障会議を創 設する法案や特定秘密保護法案も審議しているが、衆院特別委での質疑 は菅義偉官房長官や森雅子内閣府特命担当相らが中心となるため、予算 審議などに比べて首相が前面に出る場面は少ない。国家安全保障会議法 案は衆院段階で民主、日本の維新の会も賛成に回っている。

内閣府が14日発表した今年7-9月期の実質国内総生産(GDP) 速報値は、前期比年率で1.9%増と、4四半期連続でプラス成長を記 録。ドル・円相場も野田佳彦前首相が衆院解散を宣言した昨年11月14日 に1ドル=79円台だったが、19日現在は1ドル=100円近い水準での取 引となっている。TOPIXも解散宣言当日の720.91ポイントから11 月18日の終値で1241.67まで上昇している。

安全運転

安倍首相の外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参与は先週の講 演で首相について、「中国と韓国とのいわゆる歴史認識の問題について 安倍首相は非常に強い発言をすると心配だな、という感じを多くの人 が、安倍さんを支持する人の中にもあったと思う」と指摘。国家安全保 障会議の創設や集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更など安全保障政策 に関係する問題については「じっくりと勉強し、かつ準備をする。安全 運転ということだ」と述べ、慎重に議論を進めているとの見方を示し た。

谷内氏の発言を裏付ける例としては従軍慰安婦に関する「河野談 話」や「植民地支配と侵略」への「心からのお詫(わ)びの気持ち」な どを表明した95年の「村山談話」への政権の対応が挙げられる。

河野談話

首相が総裁選でそれに代わる政府見解の作成に言及した「河野談 話」については菅義偉官房長官が5月の会見で「私はここで見直しを含 めて検討という内容を述べたことはなかった。安倍政権としてはこの問 題を政治問題、外交問題にさせるべきではない」と見直しに否定的な見 解を表明。安倍首相は「村山談話」についても、5月の国会答弁で、 「全体として受け継いでいく」と明言した。

靖国神社参拝を第1次政権で見送ったことについて安倍首相は「痛 恨の極み」との発言を国会答弁などで繰り返しているが、春秋の例大 祭、8月15日の終戦記念日も参拝を見送っている。公明党の山口代表は 首相のこれまでの判断について「結果として慎重な対応をしている。よ く賢明に判断されているのだろう」と指摘。首相らの参拝に反発してき た中韓両国との関係改善にも「プラスに働く面だ」との見方も示した。

ただ、首相に近い萩生田光一衆院議員は10月20日のフジテレビの番 組で、靖国参拝について「就任1年という時間軸の中できちんとご本人 はその姿勢を示されるとそう信じている」と発言するなど保守派の中で はなお参拝への期待感は根強くある。

こうした中、尖閣国有化で冷え込んだ中国との経済関係は回復しつ つある。トヨタ自動車の張富士夫名誉会長らビジネスリーダーで作る日 中経済協会の代表団は18日から北京入りした。日本政府観光局が公表し た9月の外国人観光客数に関する資料によると、日本を訪れる中国人観 光客は前年同月比28.5%増の15万6300人で9月としては過去最高を記録 した。ホンダの中国部門の10月の自動車販売は前年同月比約212%増、 日産は同約78%増、トヨタ自動車は同約81%増だった。

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