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日経平均1万5000円は通過点、年末は高値挑戦も-市場関係者

日経平均株価が半年ぶりに戻した1 万5000円は通過点に過ぎず、年末に向け5月に付けた年初来高値を試 す、と投資家らの多くはみている。米国の量的金融緩和策が当面維持さ れるとの観測から運用リスクを取りやすくなっており、為替が再び円安 傾向を強め、輸出関連セクターを中心に業績の上振れ余地も出てきた。

15日の日経平均は、前日比289円51銭(1.9%)高の1万5165円92銭 と年初来高値(1万5627円)を付けた5月22日以来、半年ぶりに1 万5000円台を回復した。米S&P500種株価指数が連日で過去最高値を 更新するなど、世界的な株高の流れに乗り、第2週(11-15日)の日経 平均は前の週末に比べ1079円(7.7%)高と、週間の上昇幅は1998年7 月第1週以来の大きさを記録した。

BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの清川鉉徳運用本 部長は、「弾みのついた上昇相場」がいつもそうであるように、海外投 資家による買いがけん引する形で、「年末までに5月高値を試しにい き、同水準を上抜ける可能性が高い」と予想した。

東京証券取引所が14日に発表した11月1週の投資部門別売買動向に よると、海外投資家は2週連続で買い越し(買越額2099億円)、月間ベ ースでも8月にいったん売り越した後、9月以降は再び日本株買いの姿 勢を見せている。

緩和維持でもドル高

7月後半以降続いたこう着相場に終止符を打ち、日本株が大きく上 振れるきっかけとなったのは、8日発表の米国雇用統計の改善だ。「米 経済の強さが素直にドル買いにつながっていることが大きい」と、 BNPパリバ・インベストメントの清川氏。米量的緩和第3弾(QE 3)はいずれ縮小されるが、「景気の強さがその理由になるため、QE 3縮小によるファンダメンタルズへの悪影響はないだろう」と言う。

10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比20万4000人増え、 エコノミスト予想の中央値(12万人増)を大幅に上回った。一部政府機 関の閉鎖は、雇用に大きな影響を及ぼさなかった。一方、米連邦準備制 度理事会(FRB)のイエレン次期議長は14日、上院での指名承認公聴 会で、力強い景気回復の達成に向け、全力で取り組む決意を表明。金融 面での刺激策を近く引き揚げることはない、との姿勢を示した。

一方、欧州中央銀行(ECB)は7日、政策金利を半年ぶりに引き 下げ、過去最低の0.25%にすることを決定。日米欧で金融緩和の足並み がそろう形で、余剰資金が世界の株式市場に流れ込んでいる。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最 高投資責任者は、イエレン氏の緩和姿勢は素直に考えれば、ドル安要因 であるものの、「マーケットはリスク回避的な行動の弱まり、金融引き 締めが遠のくことで米景気の強い期間が続くといった解釈で、ドル高に なっている」と指摘する。

14日の海外為替市場では9月11日以来、約2カ月ぶりに1ドル =100円台に乗せる円安が進行。この流れを引き継ぎ、15日の東京市場 でも1ドル=100円台前半と円は弱含んで推移した。寺尾氏は、「こう 着が続くとの見方が多かった為替相場で、1ドル=100円台まで円安が 進行したことは大きい」とし、年内に日経平均が5月高値を上回るシナ リオも十分あり得る、と読む。

国内企業の4-9月期決算は、大方の予想に沿った良好さで、相場 の押し上げ材料にはならなかった。しかしここにきて、為替が1ドル =100円の節目を上回る円安が再度進み、輸出関連を中心に日本企業の 業績に上振れ余地が出てきた。また、日本経済団体連合会による大手企 業の年末ボーナスの第1回集計では、平均妥結額が前年比5.79%増の82 万2121円と2年ぶりに前年を上回り、1990年以来の高い伸びとなった。 業績改善が賃金増につながる好循環も視野に入ってきている。

立花証券顧問の平野憲一氏は、現状の相場水準はフェアバリューと しながらも、1ドル=100円の円安定着なら、第3四半期の決算発表に 向けて通期業績計画の上方修正が相次ぎ、「予想EPS(1株純利益) がじわじわ上昇していく可能性は十分ある」と指摘。こうした条件がそ ろえば、日経平均はさらに値を切り上げるとみる。

金融相場の寿命

SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、「日本 株は当面カタリスト不足との見方にコンセンサスが収れんし、逆に行き やすい地合いが整ってきていた」と、日経平均が1万5000円を回復した 背景を説明。世界的な景気の安定、足元で日本株が動意づいたことが、 日本銀行の追加金融緩和や賃金上昇の確度の高まりなどカタリストを早 目に織り込む動きにつながる可能性は十分想定可能、と言う。

もっとも、前週の相場上昇が急ピッチだっただけに、目先は上値が 重くなる可能性もありそうだ。急騰基調を強めた分、東証1部の上昇・ 下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは14日に124%と、9月27日以 来、相場の目先過熱を示す120%を超えた。

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの中尾剛也シニア・イ ンベストメントマネジャーは、「金融相場はいつまでも続かない」と株 高・円安の流れの持続性を疑問視。「米雇用統計の改善でも買われ、イ エレン氏発言による早期テーパリング(量的緩和の縮小)の後退観測で も買われるといった楽観による『いいとこ取り』は長く続かない」と強 調する。近いうちに株価は調整を余儀なくされ、「日経平均は再び1 万4000円-1万5000円のレンジに収れんする」と同氏はみている。

週明け18日の日経平均は、前週の流れを受けて一時100円以上上げ る場面もあったが、短期的な急騰後の売り圧力に押され、結局前週末比 1円62銭安の1万5164円30銭と小幅に反落して引けた。

--取材協力:竹生悠子  Editor: 院去信太郎

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