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軽スポーツカー、東京ショーに-楽しさアピール、車離れに対抗

22日に開幕する東京モーターショー で、ホンダなどの自動車メーカーは、走りやデザインにこだわったスポ ーツカータイプの軽自動車を出展する。軽自動車税の引き上げ論議など 逆風が吹き始める中でも、各社はさらに軽事業を強化していく姿勢を鮮 明にしている。

ホンダの「S660 CONCEPT」は2人乗りで、市販モデルは屋 根の開閉ができるコンバーチブルになる予定。ダイハツ工業も過去に販 売していたオープンスポーツ「コペン」の新型車を出展。スマートフォ ンのカバーのように車体の上から外板を自由に着せ替えて、さまざまな デザインを楽しむことができる。

国内の自動車市場が伸び悩む中、手ごろな価格で維持費も安い軽自 動車は販売台数や市場シェアを伸ばしてきた。各社は燃費や走行性能、 車内空間を広げるなどの改良を重ね、さまざまな特徴を持った新モデル をヒットさせてきた。今回、披露されるスポーツカータイプはこれらに 続くものだ。

独立系調査会社ティー・アイ・ダヴリュ(TIW)の高田悟アナリ ストは、排気量やサイズの制限がある中で、軽のラインアップを広げて 販売増につなげようとする努力の表れだと指摘。価格が多少高くても 「一般的な車からすると求めやすい価格で維持費も安いから優位性はあ る。一定の需要があるだろう」と話した。

シェア4割、高まる存在感

岡山市在住の事務職員、山嵜理津子さん(50)はダイハツのトール ワゴン「タント」を愛用している。軽を選ぶ理由として、価格や維持費 が安いことと、小さくて駐車場に入れやすいことを挙げた。地方では 「自動車がないと交通手段がない」状態で、コストの問題もあり「周囲 はみんな軽自動車」という。

国内自動車メーカー各社が隔年開催のビッグイベントである東京モ ーターショーで、軽自動車のコンセプトモデルを発表する背景には、自 動車市場が地盤沈下する中、山嵜さんのような地方に住む人々の日常生 活の足としての堅調な需要にも支えられ、軽自動車の存在感が高まって いることを示している。

日本自動車販売協会連合会や全国軽自動車協会連合会の統計による と、2012年の軽自動車の販売台数は前年比30%増の約198万台で、国内 市場全体の約37%を占めた。エコカー補助金終了の影響で、今年は国内 販売が低迷する中、軽自動車は1-10月で前年同期比3.4%増と健闘、 市場シェアも約39%まで上昇している。10月の国内新車販売ランキング では上位10車種のうち6台が軽自動車だった。

トヨタ、日産も注力

軽シェア上位のダイハツ、スズキに加えて、ホンダもここ数年、燃 料タンク配置の工夫などで広い室内空間を確保した「N BOX+」な どの新型車を投入し、シェアを拡大している。日産自動車は今年、三菱 自動車との合弁会社で企画開発した「デイズ」を市場投入。最大手のト ヨタ自動車も11年から、ダイハツからOEM(相手先ブランドによる生 産)供給を受けて軽販売を手掛けている。

全国軽自動車協会連合会の資料によると、1949年につくられた日本 独自の自動車規格である軽は長さ、車高、幅がそれぞれ3.4メートル、 2メートル、1.48メートル以下、排気量は0.660リッター以下。ホンダ の軽スポーツカーのコンセプトは、コックピットをイメージした運転席 が特徴。横長の楕円形ハンドルを中心に運転席を取り囲むように計器類 を配置した。デザインを担当したホンダの杉浦良氏は「軽自動車規格内 で誰が見てもかっこいい」と思える車を意識したという。

岡山市の山嵜さんは、軽自動車について「配達車みたいなのしかな いのが残念」といい、もっと車室が広くて外観がいい車があれば買いた いと話した。また、スポーツカーに乗りたいのに維持費が安いバイクに 乗っている夫のため、軽スポーツカーが出れば、価格的に「選択肢にな るのでは」と期待を込めた。

増税などで販売は減少へ

順調に販売を伸ばしてきた軽自動車だが、ここにきて逆風も吹き始 めた。その一つが消費増税に伴う車体課税の見直しで浮上している軽自 動車の増税案だ。

総務省の有識者による検討会は報告書で、軽自動車税が自動車税と 比べ2万円以上の格差があるのはバランスを欠くと指摘。軽規格の拡充 が数回実施されている一方、物価動向にかかわらず税率が据え置かれて いることなどを理由に負担水準の適正化を検討すべきだと提言した。年 末にもまとめる税制改正大綱に向け政府、与党で議論される見通しだ。

IHSオートモーティブの西本真敏アナリストは、今年度の軽販売 台数を約210万台前後とみて、約200万台だった昨年度を上回って過去最 高になると予測する。一方で、「ここがピークだろう」と来年度から下 落に転じるとみている。理由としては、来年4月に予定される消費増税 や各社の新型車投入ラッシュが一段落することなどを挙げ、今後は総需 要の減少に伴って軽販売台数も徐々に減少、今後3-4年で170万台程 度まで減る可能性があると指摘する。

新興国小型車市場へ技術磨く

これまで燃費や室内空間などを重視してきた軽自動車メーカーがこ こにきてスポーツカーを開発する背景について、西本氏は「ポートフォ リオがほぼ埋まってきた中、楽しさとかそういったところに振った車を 出そうとしている」と指摘。今後の拡大が期待される新興国の小型車市 場での競争力向上に向けて技術を磨く意味では各社の開発競争にも意味 があると話した。

今年の東京モーターショーには日本から14社、15ブランド、 海外 からは18社、20ブランドが出展を予定。トヨタは15年に市販開始予定の 次世代燃料電池自動車や、運転席に立って乗り、体重の移動で前後左右 へと運転操作するカプセル型車両のコンセプト、新型タクシーを展示。 日産はグライダーのように空を滑空するような乗り味が楽しめる3人乗 りの電気自動車(EV)のコンセプトを披露する。

スズキはアウトドアやスポーツ好きのためのSUVをイメージした 軽のクロスオーバー車「HUSTLER」などを出展。海外勢ではスウ ェーデンのボルボが復帰するほか、EVベンチャー、米テスラが初出展 する予定だ。

--取材協力:萩原ゆき、向井安奈. Editors: 浅井秀樹, 宮沢祐介

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