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【コラム】新しい「欧州の地獄」へようこそ-チャンピオン

ドイツ人が警官で恋人はスイス人、 英国人がシェフで機械工はフランス人、そして官僚はイタリア人-。こ ういう配役なら欧州は地獄になるという古い冗談がある。

欧州連合(EU)の欧州委員会は15日に発表した各国予算案を対象 とする初査定で、欧州経済を地獄にする新たな役どころを各国に振り当 てた。

この新たな地獄では、景気の下降局面で政府が十分に経済を膨張さ せず、消費者は物を買わないドイツが、支出係になる。欧州委のレーン 委員(経済・通貨担当)は報告で「ドイツに対する欧州委の自明な勧告 は、内需をさらに促進する経済改革を実施または策定してほしいという ことだ」としているが、あまり期待しているようには見えない。

次に、イタリアとギリシャが借り手の役になる。イタリアの債務は 国内総生産(GDP)の133%に上り、政府による構造改革は進んでい ない。欧州委はイタリアの2014年予算案の草稿はEU規則に「沿ってい ないリスクがある」と指摘した。ギリシャの予算案は査定の対象でない が、債務はGDPの169%だ。

地獄でフランスが演じる役はもちろん改革者。国民的娯楽とも言え るストや抗議運動の口実にされかねない行動を、仏政府は取る勇気がな いからだ。経済協力開発機構(OECD)は今週、同政府の無気力を批 判する報告を発表した。他の欧州諸国は金融危機に対応して対外競争力 を高めるための構造改革を実施したのに、「フランスではこの調整が起 こっていない」とOECDは指摘。欧州委の評価も、改革についてのフ ランスの「進展は限定的」と、似たようなものだった。

しかし、全ての希望が失われたわけではない。ドイツの警察はもは や恐ろしくないし、英国人も料理についてはここ数十年でずいぶん学ん だ。フランス車も大分良くなった。経済に関する悪い習慣が直るのは難 しいが、不可能ではない。イタリア人のドラギ総裁が欧州中央銀行 (ECB)を見事に率いている時代だ。ただし、地獄から天国への変化 が急に起こるとは私は思わない。

(マーク・チャンピオン氏はブルームバーグ・ビューの論説委員会 メンバーです)

原題:Welcome to the New ‘European Hell’(抜粋)

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