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【日本株週間展望】反落、15年ぶり急騰と先物警戒-商戦待ち

11月3週(18-22日)の日本株は反 落しそうだ。日経平均が15年ぶりの急騰を演じた後で売りが出やすく、 株価の押し上げ要因となった円安も、当面発表される欧米経済統計は一 進一退の内容になる可能性があり、一段の円下落を想定しづらい。資金 の出入りが激しい先物の上昇に連れた相場展開にも危うさがある。

第一生命経済研究所の首席エコノミスト、嶌峰義清氏は「米国の雇 用統計後に為替が動いた分、日本株も上昇してきたが、ドル・円を動か す主要因の米統計は今後強弱入り交じるだろう」と指摘。消費者心理や 住宅で年央の金利上昇、政府機関閉鎖の影響が見え、「1ドル=100円 を超すドルの強さは難しい」とし、一時的に日経平均株価が1万5000円 を抜けても、上に行き切れない状況が続くとみる。

嶌峰氏は、日本株が今後上昇基調を強める条件として、ドル・円の 行方を左右する米国議会での予算協議合意、クリスマス商戦好調の2点 に言及。米民間雇用者数の増加は所得を補強し、財布のひもが緩んでい く可能性はあり、データを確認する「12月半ば以降」に方向性が明確に なっていく、とした。

第2週(11-15日)の日経平均は前の週末に比べ1079円(7.7%) 高の1万5165円92銭と大幅反発。週間の上昇幅は1998年7月第1週以 来。2カ月ぶりに1ドル=100円に乗せた円安進行を好感し、半年ぶり に1万5000円の節目を回復した。急騰基調を強めた分、東証1部の上 昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは14日に124%と、9月27日 以来、相場の目先過熱を示す120%を超えた。

4銘柄で359円上昇

3月期決算企業の業績発表も一巡し、株価指数先物の影響力が増し ている。現物価格が急伸した14、15両日の日経平均先物12月限の出来高 は10万枚を超え、10月以降の1日平均の7万枚を大きく上回った。相場 の流れを読み取る指標で、日経平均をTOPIXで除した「NT倍率」 は12.2倍と5月以来の高水準を記録。第2週の日経平均上げ幅1079円の うち、寄与度上位のファーストリテイリング、KDDI、ソフトバン ク、ファナックの4銘柄で359円(33%)を占め、一部銘柄に偏った相 場の姿も見える。5月の場合、NT倍率と相場はその後下げた。

米国では経済統計、連邦準備制度理事会(FRB)首脳の発言を受 け、量的金融緩和の早期縮小観測が浮沈を繰り返している。8日発表の 雇用統計の好調をきっかけにドル買い・円売りが優勢となり、14日のロ ンドン市場で約2カ月ぶりに1ドル=100円に乗せた。

一方で、FRBのイエレン次期議長は14日の議会公聴会で、米景気 の「回復が弱々しく、短期金利がゼロという現状で、景気が腰折れした 場合に金融政策として利用可能な手段が限られる状況では、支援をやめ るべきではない」と証言。性急な緩和縮小に否定的な見解を示す。

インベスコ・アセット・マネジメントのチーフ・エコノミスト、ジ ョン・グリーンウッド氏は来月の連邦公開市場委員会(FOMC)での 縮小開始の可能性が残るとみている1人。ただ、量的緩和策自体の終了 時期は以前の想定より遅れ、「資産買い入れ終了から金利上昇までの時 間はさらに長く、金利上昇は2015年後半、16年にまで先延ばしになる」 と読む。年明けには、再び米暫定予算の期限を迎える事情もあり、米金 利とドルの水準観はなお定まりにくい。

日米商戦が鍵

年末まで1カ月半ほどとなり、日米の大型商戦が好調なら、株式相 場の支援材料になりそうだ。米国10月の消費者信頼感指数は11年8月以 来の落ち込みとなったが、全米小売業協会によると、11、12月の年末商 戦は前年比3.9%増が見込まれている。米ソラリス・アセット・マネジ メントの最高投資責任者(CIO)、ティム・グリスキー氏は「年末商 戦に対する市場の期待はかなり低かったが、若干上向いたかもしれな い。株式市場をめぐる状況は依然好ましい」と言う。

日本では、7-9月の実質国内総生産(GDP)が前期比年率プラ ス1.9%と、民間消費の鈍化と輸出の縮小で4-6月の3.8%から鈍った が、市場予想は上回った。SMBC日興証券のシニアエコノミストの宮 前耕也氏は、来年4月の消費税率引き上げを控え、年度後半に向け「駆 け込み需要が本格化し、成長率が再加速する」とみる。みずほ総合研究 所のまとめでは、13年冬の1人当たりボーナス支給額は、企業収益の改 善を背景に前年比プラス0.9%と5年ぶりに増えそうだ。

米国やドイツなど本国株式市場の強さを背景に、投資余力のある海 外投資家の日本株買い意欲は強い。11月1週は2000億円以上買い越し、 年間の累計買越額は10兆8500億円と過去最大だった05年の10兆3218億円 を既に上回る。米メリルリンチが毎月行う世界のファンドマネジャー調 査によると、11月の日本株の配分状況はプラス24%と年初からオーバー ウエートが継続。ただ、比率は10月から6ポイント減った。

10月下旬から今月上旬まで欧米投資家を訪問したメリルリンチ日本 証券の株式ストラテジスト、神山直樹氏は「おおむね建設的であった が、マクロ観点の投資家は日本市場のカタリストの少なさに、欧州市場 などに興味を向けやすくなっている」と、海外勢の日本株に対する反応 を振り返った。欧州では12月にアイルランド、来年1月にスペインに対 するユーロ圏の金融支援が終わる。日経平均が今後、5月23日に付けた 年初来高値の1万5942円を目指すには、日米双方の景況感好転など一段 の変化が待たれるところだ。

第3週に注目される材料は、国内では20-21日に日本銀行の金融政 策決定会合があり、女性向け衣料・アクセサリー販売のANAPが19日 にジャスダック市場に上場するのを皮切りに、年末に向け新規株式公開 (IPO)ラッシュとなる。海外では、米国で18日に11月のNAHB住 宅市場指数、19日にドイツで11月のZEW景況感指数、20日には米国 で10月の小売売上高などが公表される。

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