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中国の富豪、ぬるま湯の国有企業打ち負かす-示した「民」の力

中国の指導部は共産党中央委員会第 3回総会(3中総会)後の声明で、曖昧なメッセージを発信した。市場 の役割拡大を表明しながら、政府は経済における主体的立場を堅持する との方針だ。

アルミニウム2社に関する以下の話は、中国がこの矛盾を解決しな ければならない理由を示している。

1社は民間アルミニウムメーカーとして同国最大手の中国宏橋集 団。メーカーは通常、アルミニウムのインゴット(金属塊)を販売する ため、顧客はそれを再び溶かして型に流し込む時間と費用がかかる。し かし宏橋は液体のまま顧客に納品。自前の発電所を所有していることか ら精錬費も安く済む。同社はこうした取り組みにより、昨年54億5000万 元(約900億円)の利益を稼ぎ出した。

もう1社は中国最大のアルミニウムメーカー、中国アルミ(チャル コ)。時代遅れの技術で生産効率も低く、昨年は82億3000万元の赤字と なった。中国での建設ラッシュのペースが落ちたことで業界は生産能力 過剰に陥っており、両社共にその影響を免れないでいる。アルミニウム 相場は2008年のピーク時のほぼ半値となった。

しかしそうした中でも両社の明暗は分かれている。中国の習近平国 家主席が、国有企業主体の産業の過剰生産能力が経済危機の原因となる 恐れがあると警告している理由はそこにある。

死活問題

宏橋創業者の張士平氏(66)は国有企業が優遇される状況を克服し てきた。寡占状態の国有電力会社から高価格の電力を購入せずに済むよ う、自前の発電所を建設。繊維業から身を起こした張氏は、ブルームバ ーグ・ビリオネア指数のデータによると38億ドル(約3800億円)の資産 を保有している。

ブルームバーグの集計データでは、技術への投資を惜しまない宏橋 の従業員1人当たりのアルミニウム生産量は約69トン、チャルコは43ト ンにとどまる。チャルコは香港と上海に上場しているが、株式の過半数 は国有の親会社チャイナルコが握っている。

チャルコは親会社から5億2900万ドルの資金支援を受けたにもかか わらず、今年1-9月の累計損失が18億5000万元に上る。

UOBケイ・ヒアンのアナリスト、ヘレン・ラウ氏(香港在勤)は 「チャルコは苦境に陥れば常に親会社が助けてくれることを知ってお り、民間の競争相手には脅威を感じていない」と指摘。「宏橋のような 企業がイノベーションを死活問題と捉えているのに対し、事業改善のた めに研究開発に真剣に取り組もうという動機がない」と述べた。

「泣けば政府が」

ブルームバーグのデータによれば、こうした恵まれた状況を背景に チャルコの借り入れコストは宏橋より2ポイント低い。債務残高は243 億ドルで、宏橋の57億ドルの4倍余りだ。

宏橋のマネジャー、リュウ・シュジョン氏は「国有企業は子どもの ようだ。泣けば政府が資金を出す」と話した。チャルコにコメントを求 めて電話とメールで連絡を取ったが返答はない。

国務院の10月15日の報告書によると、生産能力過剰は鉄鋼や板ガラ ス、セメント、造船など国が主体となっている他の産業でも広く見られ る。

原題:China Billionaire Beats State as Summit Encourages Markets (1)(抜粋)

--取材協力:William Bi、Jun Luo、Michael Wei. Editors: Neil Western, Adam Majendie

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