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高齢化進む日本の小規模稲作、安倍政権の減反廃止で転換へ

山間部の斜面や平野部に小さな水田 が並ぶ見慣れた地方の風景が、5年もすれば変化してゆくかもしれな い。水田の統合やコメ以外の作物への転作が加速する可能性があるから だ。

農水省は今月、自民党に対し減反政策を2018年までに廃止する案を 提示した。同時に、点在する農地の貸し借りを仲介する「農地バンク」 を各都道府県に設置する計画も発表した。

減反政策とコメに課されている778%の輸入関税が約120万戸のコメ 農家を支えている。農林中金総合研究所のデータによれば、これらの農 家の大部分は、年金とパートタイムの仕事、コメの販売で生計を立てて いる70歳代のお年寄りたちだ。安倍政権にとって選挙での農家の票は重 要であり、日本人は稲作への文化的な愛着が強い。一方、コメ消費は落 ち込んでおり、製造業にとっては自由貿易協定(FTA)の推進は急務 だ。

日本大学の岩井奉信教授は、日本の農業政策は転換期を迎えてお り、従来より積極的で競争力のある農業が支持されていると指摘。政治 家らは、農業人口が縮小している地域で農業を保護するメリットは低下 していると考えていると語る。

自民党の農業基本政策検討プロジェクトチームの宮腰光寛・座長 は10月30日、減反政策に従う農家全員に支給する直接支払交付金を削減 することにより、主食米以外への転作を促し、農家の規模拡大を推進し たいと述べた。

継続は不可能

宮腰氏は、日本のコメ農家の平均年齢は既に70歳に達し、今後10年 以内に担い手がいなくなる危機に直面しており、これまでのような全国 一律の農政では立ち行かなくなると話す。

日本のコメ消費は1963年にピークの約1340万トンに達した。戦後の 所得の増加に伴って肉や乳製品、他の穀物を食べるようになったため、 コメ消費は減少し始めた。

政府は70年に、消費に見合った生産を行うことでコメ価格を支持す る減反政策を開始。コメ消費が落ち込むにつれ生産目標も引き下げら れ、農水省は減反に応じた農家に補助金を支給した。

今年は予想される需要約786万トンに対し、生産目標は過去最低の 約791万トン。この計画に沿って減反を実施する農家に対しては10アー ル当たり1万5000円が支給される。昨年、豊作にもかかわらずコメ価格 が6年ぶりの高値を付けたのも、稲作の大規模化が進まないのも、この 交付金制度が関係していると、全国米穀販売事業共済協同組合の木村 良・理事長は語る。

今年5月末までの9カ月間のコメの平均卸売価格は1キログラム当 たり276円。一方、農水省が米国から買い入れた精製短粒米は同181円、 先月の入札で購入されたオーストラリア産は152円だった。これらの輸 入価格には輸送と検査の費用が含まれている。

農家への補助金支給と輸入関税が、家電や自動車メーカーなどが支 持する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉での合意の妨げとなってい る。政府は3月に、TPP交渉で合意し関税が引き下げられれば、日本 の国内総生産(GDP)が3兆2000億円押し上げられる一方、農業分野 の生産額は3兆円減少するとの推計を示している。

原題:Rice Plan Signals End of Era as New World Farmers Beat Old Japan(抜粋)

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