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邦銀3メガ純利益、上方修正も下期は減速へ-第三の矢が焦点

三菱UFJ、みずほ、三井住友の大 手邦銀グループの4-9月期の連結決算が14日出そろった。アベノミク ス下での株高や景気回復を背景に、三井住友とみずほは半期ベースの最 高益を記録し、3社はそろって2014年3月期の純利益予想を上方修正し た。しかし下期だけを見ると減速傾向が鮮明になる。

株式関連や与信関係費用の改善で第1四半期の3グループ純利益合 計は前年同期比82%増の1兆4656億円に拡大。各グループは通期予想・ 目標を2兆2600億円に上方修正した。ただ、これを達成しても下半期の 純利益合計は前年同期比では43%減に、上半期比較でも46%減になる計 算で増益ペースはスローダウンする。

下期についてスタンダード・アンド・プアーズの根本直子マネジン グディレクターは株高が一段落し、「今後は上げる要因よりも下げる要 因が多い。課題は融資やその他でカバーできるかだ」と述べた。アベノ ミクスで「企業投資が大きく好転するようにも思えない」とし、融資先 開拓や株高に頼らない金融商品開発の必要性などを指摘した。

アベノミクスの下でTOPIXは年初来で約40%上昇し、景気も回 復。企業倒産件数は10月まで12カ月連続で前年同月を下回り、全国銀行 の10月の総貸出平残は407兆7500億円と前年同月比2.3%増加した。しか し、内閣府が14日発表した7-9月期の実質国内総生産(GDP)速報 値は前期比年率で1.9%増と前期から伸びが縮小している。

3グループの株価動向は、年初来で三菱UFJが43%、三井住友が 約63%、みずほが39%上昇している。15日の終値は三菱UFJが前日比 で13円(2%)高の658円、三井住友が145円(2.9%)高の5080円、み ずほが4円(1.9%)高の218円となった。

成長戦略に期待

昨年末からの株高などを受け、4-9月期は各グループで株式関係 損益が大きく改善、取引先の業況が改善し与信関係費用は戻り益となっ た。一方、本業のもうけを示す連結業務純益の合計は1兆8512億円と前 年同期比4.2%減と伸び悩みんだ。日銀による「異次元」の金融緩和の 影響もあり本業であるの銀行業務の資金利ざや改善は遅れている。

みずほFGの佐藤康博社長は決算会見で、「第1四半期が良いよう に見えるが、設備投資の資金重要が出てくれば第3四半期や第4四半期 も勢いが出てくる可能性は十分にある」と述べ、大胆な金融緩和や財政 出動に続くアベノミクスの第三の矢である規制緩和の具体策など成長戦 略に期待を示した。

貸出金利回りから預金等利回りを差し引いた国内預貸金利ざやは、 中間期で三菱UFJ(傘下2行合算)が前年同期比0.11ポイント低下 の1.04%、みずほ(単体)が0.06ポイント低下して1.06%、三井住友 (単体)が0.1ポイント低下して1.4%にとどまっている。

三井住友FGの宮田孝一社長は12日の決算会見で、アベノミクスに よる国内景気の回復に伴い設備投資の資金ニーズが期待できるとしたも のの、「貸し出しのボリューム拡大より利ざや低下のプレッシャーが大 きい」と述べ、国内の融資業務での利益拡大には時間がかかるとの見通 しを示した。

海外融資

三菱UFJの9月末の海外貸出金残高は28兆3500億円と3月末か ら11%増加した。ただ、26%伸びていたその前の6カ月からは大きく鈍 化している。三井住友とみずほも増勢は保っているが、鈍化傾向が目立 ち始めている。

海外融資の環境は欧州金融危機を背景に一時、勢力を弱めていた海 外銀行勢が最近になって世界の貸出市場で息を吹き返して始めており、 競争は厳しくなりつつある。また、昨年後半から進んだ円安に伴い海外 融資の残高が膨らんだ効果も一服している。

三菱UFJの平野信行社長は決算会見で、海外融資について「2- 3年前よりやや鈍化している」と述べた。理由として米国と中国経済の 低迷でアジアの経済活動が低下していることを挙げた。その上で、「残 高を伸ばせば良いというものではない。日系企業とのトランザクション 業務や非日系との取引拡大への体制を整えている」と強調した。

みずほ証券の西原里江シニアアナリストは14日付リポートで、三菱 UFJの通期予想の引き上げをポジティブサプライズと指摘。下半期に ついては「与信費用、関連会社収益が保守的な想定のため、年度末に一 段の上方修正の可能性も出てきた」とみている。

【13年4-9月期連結決算の概要と通期予想】
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             連結      与信      株式等  4-9月期  14/3通期
           業務純益  関係費用   関係損益  純利益  純利益予想
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三菱UFJ   7245       257        434      5302       9100
            (8348)    (-623)    (-1736)    (83%)     (6.7%)
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みずほ       4186       770        390      4297       6000
            (4993)     (60)   (-2276)    (133%)    (7.0%)
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三井住友     7081       396        604      5057       7500
            (5988)    (-480)    (-1329)    (53%)    (-5.6%)
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注)単位:億円、%。業務純益、与信費用、株式等関係損益のカッコ内
は前年同期の実額。純損益、通期純利益予想のカッコ内は前期実績比。
三菱UFJは通期純利益予想でなく目標。

--取材協力:谷口崇子. Editors: 平野和, 持田譲二

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