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ボジョレ戦線異状あり、円安が価格直撃-解禁控えて業者強気

日本でもすっかり根付いた恒例行事 のボジョレ・ヌーボー解禁を21日に控え、ことしは商戦に異変が生じて いる。アベノミクスを受けた急激な円安ユーロ高の進行などで、輸入ワ インの価格に影響が出ているのが背景だ。

米ウォルマート傘下の西友は売れ筋750ミリリットルのボトルを昨 年比約26%値上げする。販売数量は前年並みとした。サッポロホールデ ィングスも平均で約10%値上げする。それでも高額品の予約は計画 比1.5倍だ。ボジョレは仏ブルゴーニュ地方でその年に採れたブドウに よる初物ワイン。仏政府が1985年に11月第3木曜日を解禁日に定めた。

過去1年でユーロは対円で32%上昇、ユーロ圏から日本への輸出品 価格は単純計算で約3割の上乗せとなる。その中で各社のボジョレ販売 計画が強気なのもアベノミクスが背景だ。景況感改善で消費者の財布の ひもが緩み始めている。世界中でボジョレPRを手掛けるSOPEXA グループでは日本での販売は前年並みとみる。

ニッセイ基礎研究所の消費行動に詳しい久我尚子准主任研究員は、 アベノミクス効果で景気が回復する中、消費行動も変わってきたと指摘 した。「必要なものを買う消費から、より嗜好性の高いものにお金を使 う傾向が出てきている」という。ボジョレ値上がりについても「価格自 体がそう高いものではなく、贅沢をする方向に関心が向いており全体と しては問題にはならないだろう」と述べた。

輸入量は減少も

ボジョレ全体の輸入量は減る見通し。酒類専門紙の醸造産業新聞社 が10月に発表した調査によると、市場の約8割を占める主要ワイン輸入 業者46社のことしのボジョレの輸入量は、前年比5%減の合計51万740 箱(1箱=750ミリリットルのボトル12本)を見込んでいる。

為替などのコスト増をどこまでワイン価格に反映させるか。対応は 分かれる。西友は、同社オリジナルのボジョレを現地から直接仕入れ る。商品本部ディレクター、真弓博文氏は「円安に加え、原価の高騰、 輸送コストの上昇で仕入価格が高くなる」として、最も売れ筋のベーシ ックな750ミリのペットボトル入りをことしは870円で提供。前年は同種 商品が690円だった。

キリンホールディングスの広報担当者、山崎大護氏によると、グル ープ企業のメルシャンによることしのボジョレの値上げ幅は数パーセン トに抑える。銘柄を1つ増やし計12種類の取り扱いにし、輸入量は去年 より3%多い5万3800ケースだという。

「日本で一番の安値にことしも挑戦する」というのはディスカウン トストアのドン・キホーテ、広報担当の倉戸英里氏だ。買い付けは自社 で行い、最安値のボジョレの価格は解禁直前まで非公表。昨年はペット ボトル入りのボジョレを1本490円で販売した。

利益度外視の戦略

倉戸氏によると同社は、ワインに注目が集まるこの時期を、ここ数 年注力している酒類の販売促進期と捉え「利益をある程度、度外視して も、このイベントを通じてワイン愛好者の裾野が広がり、ワイン売り場 の利用者もさらに増えることを狙う」という。

こうした大型量販店の低価格での攻勢に対して、一部輸入業者が対 応策を講じ始めた。「ディスカウントショップやスーパーでのボジョレ の価格競争は年々厳しさを増しており、競争は過熱気味」と語るのは、 輸入業者として全国規模で酒販売店などに卸しているモトックスの平岡 篤社長。同社は低価格帯の輸入量を削り、全体では前年比約12%程度減 らす。それでも中高価格帯に力を入れることで「利益では前年並みを確 保できる見込み」という。

同じく輸入業者のヴァンパッシオンも仕入れ量を減らす。仕入企画 担当者の本山晴一郎氏は「輸入量は前年と比べ5%ほど減少となるが、 収益面はほぼ横ばいを目指す」という。その鍵とみるのがペットボトル の高品質ワインだ。「ボトルの質の向上も大きいが、同時に航空貨物の CO2排出量の削減が可能。ボトルはリサイクルでき、環境に優しい未 来志向であるため」という。

遅い発売を味方に

さらに各社共通の今年の懸念材料がある。販売次期の遅れだ。昨年 の解禁日は11月15日だったが、カレンダーの都合でことしは1週間近く 遅い発売となる。そこを逆手に取ったのがアサヒグループホールディン グス。傘下のアサヒビールは政府が提唱した11月22日の「いい(11)夫 婦(22)の日」と絡めて売上増を目指す。

同社ウエブページでは、解禁日翌日の22日に「普段は言えない感謝 の言葉を伝えるきっかけ作りに」と訴え、ワインに合う料理のレシピを ウエブ上で公開するなどして販売促進を行っている。

航空経営研究所の主席研究員を務める、ジェフリー・チューダー氏 が日本でのボジョレの仕掛け人だ。元日本航空の国際広報担当だったチ ューダー氏によると、当初国際線の航空機の貨物部分でフランスから日 本への帰路を埋めるためのアイディアがきっかけだったという。日本か らの航空機は電子機器など日本製の高付加価値製品を満載していたが、 日本への帰路は逆に空きスペースが目立つ状態だったという。

最初は6ケース

これを解決する一案として、英国人であり欧州でのボジョレのイベ ントに親しんでた同氏は、ボジョレが日本でも受け入れられる可能性が 高いとして、78年に6ケースを航空便で輸入し、ホテルニューオータニ 東京でイベントを開催し、報道関係者に振る舞ったという。

その後も毎年定期的にイベントを行ってきたことで徐々に日本でも 浸透し、80年代に入り大ブレイクする下地を作ってきたと語る。同氏は 「日本人は季節を感じさせるイベントが好きであり、その要素が受け入 れられたようだ」と述べた。今では日本は、フランス以外ではボジョレ の最大の消費地。仏大使館企業振興部によると、日本の輸入量は2位米 国の約4倍と、ずぬけている。

リサーチ会社ゲインによると、全国の20代30代で3カ月以内にワイ ンを購入した男女に「ことしのボジョレを飲みたいと思うか」と聞いた ところ「絶対に飲みたい」が18.8%、「可能であれば」が50.8%とな り、7割がボジョレに関心を示した。調査は6月に行われた。

ことしの味は

ことしのボジョレの出来について、SOPEXAの広報担当鈴木靖 子氏は「ブドウの成長が遅れ収穫期が例年より遅くなったが、良いワイ ンができたと聞いている。骨格がしっかりし、みずみずしさを感じる味 のようだ」と述べた。

ボジョレーワイン委員会は都内で20日午後9時からフランスを代表 する人気アーティストによるライブなどの翌日に向け解禁イベントを予 定。深夜営業を実施しているドン・キホーテも六本木と梅田で21日午前 零時からそれぞれ芸能人を招き解禁カウントダウンを実施する。その 他、日本各地で21日には解禁を祝うイベントが予定されている。

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