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ギャンブル嫌いの富豪がカジノ業に賭ける-大当たりが出るか

フィリピンの富豪エンリケ・ラソン 氏はギャンブルに手は出さない。3月にカジノ業界に進出したが、大金 を賭けるギャンブラーたちに歓迎の握手をするより、港でクレーン車を 操縦する方が心地良いという。

「大勢の人々に囲まれているのを好むタイプの人間ではない」と話 すラソン氏は、「そんな私がなぜカジノビジネスに参入したのか不思議 に思われるかもしれない」と語る。

ラソン氏(53)は3月、フィリピンのマニラ湾沿いの埋立地にソレ ア・リゾート・アンド・カジノを開業した。きらびやかなソレア は、120ヘクタールの地区にラスベガス流の複合施設を建設するプロジ ェクト「エンターテインメントシティー」に入居する4つのリゾート施 設の先陣を切ってオープンした。ブルームバーグ・マーケッツ誌12月号 が報じている。

同氏はカジノビジネスに参入する前に港湾事業で富を築いた。同氏 が率いるインターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ社( ICTSI)は、19カ国でコンテナ貨物の取り扱いサービスを提供す る。同氏はソレアを傘下に置く上場カジノホテル会社ブルームベリー・ リゾーツの株式71%を保有する。ブルームバーグ・ビリオネア指数によ れば、11月6日時点のラソン氏の純資産52億ドル(約5100億円)の3分 の1強はブルームベリー株が占める。

課題山積

カジノ産業での冒険を成功させるためにラソン氏が直面する課題は 多い。フィリピンはアジアのギャンブラー数十万人を引き付けているマ カオやシンガポールと競争しなければならないが、フィリピンでは交通 渋滞がひどく、インフラ整備は進んでいない。

フィリピンにチャンス到来とみているアジアの大物実業家は多く、 ラソン氏はその1人にすぎない。同国の不動産・金融界の大物、ヘンリ ー・シー氏は2014年にエンターテインメントシティーで2番目のカジノ を開業する予定。ビリオネア指数によると、シー氏(89)はフィリピン 1位の富豪で、130億ドルの資産を持つ。同氏はマカオのカジノ界の大 物であるオーストラリア人ジェームズ・パッカー氏とローレンス・ホー 氏の2人と提携している。ホー氏の父スタンレー・ホー氏は51年前に初 めてマカオにカジノを開業した。

3番目のカジノは日本の岡田和生氏率いるユニバーサルエンターテ インメントが運営し、4番目のカジノは資産家アンドルー・タン氏とマ レーシアのリム・コク・サイ氏が共同で設立する予定だ。タン氏とリム 氏は09年からマニラ国際空港近くでギャンブル複合施設を運営してい る。

爆発的成長

これらのカジノがオープンすれば、マカオが主導するアジアのギャ ンブル産業の爆発的成長はさらに勢いづく見込みだ。1962年にスタンレ ー・ホー氏がカジノ1軒を開業して以来、マカオのカジノは現在で は100軒を超える。中国本土からギャンブルを楽しみに来る人々が多 く、2012年のマカオのカジノ収入は14%増加し380億ドルに上った。マ カオに次ぐ2位はシンガポールで、カジノリゾート2カ所の12年の収入 は計59億ドル。オーストラリアやカンボジア、マレーシア、韓国もギャ ンブル産業を抱え、ベトナムでも7月に初のカジノリゾートが開業し た。

ソレアは開業後最初の四半期となった4-6月期の売上高が36億フ ィリピン・ペソ(約82億円)、純利益は2270万ペソ。1万8500平方メー トルの面積を持つソレアには、スロットマシン1200台とギャンブル用テ ーブル300台が設置されており、1階は地元住人と観光客向け、2階は 中国や韓国などアジア地域のプロのギャンブラー向けの設備となってい る。

フィリピンのギャンブル業界監督当局によると、カジノリゾートの 新設で同国のカジノ収入は17年までに100億ドルに膨らむ見通し。これ を実現するには、フィリピンはインフラ整備に懸命に取り組む必要があ るとアナリストらは指摘する。BDOユニバンクの最高投資責任者マー ビン・ファウスト氏(マニラ在勤)は、「シンガポールは安全で安心し て歩き回れるが、ここフィリピンでは解決すべき課題が多い」と話す。

儲かる確率

ラソン氏も「インフラや交通機関の面で極めて不利な立場にある」 と認める。ただソレアでは、高額を賭けるギャンブラー向けの極めて重 要な部門は週末には盛況で、中国やアジアの人々を対象にギャンブルツ アーを企画する会社を30社呼び込んでいるという。

ICTSIを世界の港湾運営会社に飛躍させたラソン氏は、マニラ のカジノを他国に進出する足掛かりにしたい考えだ。同氏はマカオ当局 が現行のカジノ免許が失効し始める2020年に新規参入を認めると見込 む。

ギャンブル業界での経験不足について問われると、ラソン氏は肩を すくめ、「ギャンブルは根付いた産業だ。損をするよりも儲かる確率の 方が高い」と語った。

原題:Philippine Billionaire Razon Jumps to Casinos From Containers(抜粋)

--取材協力:Clarissa Batino、Patrick Chu、Gillian Wee、Ian Sayson. Editors: Michael Serrill, Gail Roche

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