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FRBは量的緩和で営業損失リスク―資産価値下落やコスト増大

米金融当局が債券購入プログラムを 長く続ければ保有資産額が膨らみ、その価値下落やコスト増大により、 営業収支が赤字になるリスクも否定できず、財務省への国庫納付額がゼ ロになる年が訪れる確率が高まる。2012年の納付額は過去最高の884億 ドル(約8兆7500億円)だった。

2008年のベアー・スターンズおよびアメリカン・インターナショナ ル・グループ(AIG)救済から3回に及ぶ量的緩和策に至る当局の金 融危機対応の過程では、市況が急速に回復したため取得資産の値上がり で営業利益は膨張し財務省への納付額も過去最高水準に増えた。ただ今 後見込まれる景気回復と金利上昇により、当局の保有債券の価値は下が ることになる。また同時に資金調達コストが上昇する。これは市中銀行 が連邦準備制度に持つ当座預金の超過準備に当局が利子を支払っている ためだ。

この状況が続けば金融当局としては営業損失が発生しかねないほ か、すでに金融政策に批判的な議会の監視が強まる可能性がある。

当局は、毎月850億ドルの規模で実施している債券購入のペース減 速を検討する中、そうしたリスクに対応しようとしている。ニューヨー ク連銀のダドリー総裁は10月の講演で、バランスシート拡大は当局に 「ある程度の財政リスクをもたらす」とし、独立性を脅かすとの認識を 示した。

JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケ ル・フェロリ氏は「当局者らはこうした懸念を排除しようと努めている が、心の奥ではなおくすぶっているだろう」とし、「懸念がなくなるこ とはない」と続けた。

「重要な問題」

ダドリー総裁は先月15日、メキシコ市での講演で、金融当局の「伝 統的な金融政策の枠組み」が当局の財政面での独立性を保証する上で助 けとなり、よって全般的な独立性を支える上でプラスに働いていると指 摘。「重要な問題」は、当局のバランスシートを過去最大の3兆8500億 ドルに膨らませた非伝統的政策が、いかにその独立性を脅かしてきた可 能性があるかということだと述べた。

金融当局は保有する国債および住宅ローン担保証券に関して利払い を受ける。こうした金利収入や他の収入を連邦準備制度理事会 (FRB)や12地区連銀の運営に利用しており、残った分を財務省に納 付している。

納付がゼロになる可能性を受け、今年初め共和党議員から懸念の声 が聞かれた。ジョン・キャンベル下院議員(共和、カリフォルニア州) は2月のインタビューで、金融当局の損失は「まっとうな懸念であり、 注視していく」と述べた。

金融当局のバランスシートが膨らめば、超過準備の合計額も膨ら む。量的緩和策の下では、政策当局はニューヨーク連銀の市場担当部署 に対し、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)から証券 を購入するよう指示する。これによりプライマリーディーラーの口座の 資金が増え、ディーラーの決済銀行が連銀に持つ口座の過剰準備は増大 する。結果、金融当局の利払い額が増えることになる。

原題:Fed Anxiety Rises as QE Raises Risk of Loss With Political Cost(抜粋)

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