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中国の郊外住宅地は「巨大な宿舎」-自動車利用急増で環境悪化

大気汚染によるもやで視界がかすん でいるのを除けば、中国天津市近郊の住宅地、ウオーターフロント・コ ーソ・マンションズは、同国の都市住民にとって理想郷に見えるかもし れない。

ゲートを入ると、湖や手入れされた庭を見下ろす高層マンションや 住宅が敷地内に建ち並ぶ。ただ、近隣に店舗や娯楽施設はなく、数百カ 所もあるこのような住宅地は、自動車で約40分離れた天津市のための巨 大な宿舎のようになっている。

「近くに病院や美容院、レストランさえもない。野菜を買うためだ けに20分間ドライブしなければならない」。この住宅地に娘の家族と住 み、毎日妻を勤務先に乗用車で送迎しているワン・ボさん(62)はこう 語る。

この住宅地は中国の「スーパーブロック(超街区)」と呼ばれる地 域の一つだ。こうした住宅地の開発は、都市部の中間層の住民たちにど こに行くにも乗用車利用を強いることによって、社会的危機やエネルギ ー・環境面の危機を誘発する温床となりつつある。

中国共産党は今週開かれる第18期中央委員会第3回総会(3中総 会)で将来の経済政策について議論する。ロシアの旧ソ連時代の都市計 画を参考にしたこの開発計画の下で、歳入の約20%を土地売却に頼る地 方政府と、都市化と環境改善のバランスを取ろうと努める李克強首相の 路線との対立の構図が浮き彫りとなっている。

米国では1950年代に約1億6000万人が郊外に転出した。中国は 今、10億人を超える人々が郊外へ移住しようとしている。米国の戦後の 郊外の拡張では、住宅と学校、スーパー、レストランなどが混在してい たのに対し、現在の中国では、都市部への通勤はおろか、基本的なサー ビスを受ける場合でさえ自動車を使わねばならず、エネルギー消費と排 気ガスが増加し、同国の都市は世界でも最も深刻とされる大気汚染に見 舞われている。

3億人が流入

中国では1995年以降、3億人を超える人々が都市部に流入してい る。これはロシアの人口の約2倍に相当する。李首相は、さらにほぼ同 じ規模の人々を、環境悪化や燃料価格の高騰を招くことなく都市部に吸 収する方策を見いださなければならない。

日本の国立環境研究所が支援した国際科学プログラム「グローバ ル・カーボン・プロジェクト」の事務局長を務めたソバカル・ダカール 氏は「中国が今、適切な措置を取らなければ、非効率的なインフラで身 動きができなくなり、渋滞や公害の悪化につながるだろう」と指摘。 「政府は都市部の一段と効率的な発展に向け、早急にインセンティブを 提供する必要がある」と述べた。

原題:China’s New Soviet-Style Suburbia Heralds Environmental Disaster(抜粋)

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