ソニーが先週発表した決算が予想外 に不調だったことで、平井一夫社長の掲げるエレキ事業の再生計画に不 透明感が漂いつつある。近く投入する新型ゲーム機を軸とした年末商戦 が今後の業績回復の正念場になるとの声も聞かれる。

ソニーは先月末の決算発表で今期(2014年3月期)の純利益予想を 8月時点の500億円から40%減の300億円に下方修正した。過去2四半期 連続で好調な決算だっただけに、翌日の同社株価は11%急落。米格付け 会社ムーディーズ ・インベスターズ・サービスはソニーの格付けをジ ャンク級(投機的格付け)に引き下げる可能性があると警告した。

平井社長は就任以来、経営改革に取り組んでいるが、その進ちょく 以上に市場全体としてデジタルカメラやパソコンの売れ行きが落ち込ん でいる。ドイツ銀行の中根康夫アナリストは「市場環境の変化に会社が ついていけていない」と指摘、「ソニーはスマートフォン(多機能携帯 電話)に注力するのが遅れ、タブレット端末でも頑張りが足りない」と 語った。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの最高投資責 任者、寺尾和之氏は、そもそも縮小する市場で事業を展開していること が間違いである可能性があり、「平井社長はどんどん溶けていく氷の上 に立っているようにみえる」と述べた。

スマホ以外は下方修正

今期、平井社長の構造改革を象徴するのがスマホ「Xperia (エクスぺリア)Z1」の投入だった。就任直後から唱えていた「On eSony」の号令の下、部門間の壁を越えて開発が行われ、デジカメ 顔負けのカメラ機能を搭載。競争の激しい中で販売目標を4200万台に据 え置いた。

しかし、スマホなどモバイル端末が普及するにつれて、デジカメや パソコンなどが侵食されるジレンマを抱えている。ソニーはスマホ以外 の主要電機製品の今期販売目標を軒並み下方修正した。デジカメは5月 時点で1350万台だったが、8月に1250万台となり、わずか3カ月後の今 回1200万台まで引き下げた。パソコンも期初の750万台から580万台に、 液晶テレビは期初の1600万台から200万台減の1400万台へそれぞれ下方 修正した。

これに加えて今回の決算では「アフター・アース」などの興行収入 が期待外れに終わり、映画事業が業績全体を圧迫した。

加藤優代表執行役・最高財務責任者(CFO)は決算会見で、「市 場環境はなかなか厳しい状況が続いている」とし、特にパソコン、デジ カメ、テレビなどが厳しい競争にさらされていると述べた。その上で、 パソコン事業は抜本改革が急務で、改革プランを策定中だと語った。

PS4が頼みの綱

ソニーは7年ぶりの新据え置き型ゲーム機「プレイステーション (PS)4」を15日から北米市場を皮切りに投入する。年末商戦でマイ クロソフトのライバル機「Xbox One」と真正面から競合する が、Xboxよりも100ドル安い価格設定で戦いに臨む。その成否はソ ニーの今期業績を左右しよう。同社の広報担当、今田真実氏は「年末商 戦はソニーにとって最大の商戦期」だとしている。

ゲーム事業を担当しているソニー・コンピュータエンタテインメン ト(SCE)のアンドリュー・ハウス社長は今期のPS4の販売目標 を500万台としていることを9月に明らかにした。発売から同期間の販 売目標としては、前機種のPS3の実績を上回る水準だ。

マッコーリー証券アナリストのダミアン・トン氏は「PS4の売れ 行きが平井社長の手腕を示す指標として注目されよう」とし、「PS4 の販売が想定を下回れば、ソニーが本当に再建できるのか懐疑的見方が 強まるだろう」と述べた。

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