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トヨタはアベノミクス代表銘柄か-円安で好調、国内にこだわり

自動車世界最大手のトヨタ自動車が 今期(2014年3月期)連結営業利益や純利益予想を上方修正した。業績 見直しの大部分が為替変動によるもので、大幅な円安をもたらした安倍 晋三政権の経済政策、アベノミクスの恩恵を受けた銘柄の代表格と言え そうだ。

トヨタが6日に発表した今期の営業利益予想は従来の1兆9400億円 から同67%増の2兆2000億円に増額修正。純利益予想は1兆6700億円 で、ブルームバーグ・データによるアナリストの予想平均値には届かな かったものの、いずれも過去最高だったリーマンショック直前の08年3 月期に迫る水準に切り上げた。

トヨタの発表資料によると、今期の営業利益予想を従来比で2600億 円増額した要因のうち、2200億円が為替変動の影響による増加。原価改 善の努力や営業面の努力を大きく上回った。日本の大手企業ではソニー やキヤノンなど通期の利益予想を減額した会社もある中、円安がトヨタ の業績を押し上げていることを示している。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最 高投資責任者は、円安メリットを直接受けやすいトヨタなどの自動車メ ーカーは「アベノミクス、円安という意味では金融や内需関連と並んで その恩恵を受けたといえる」と話した。

国内自動車大手との比較でもトヨタの好調さは際立っている。先に 決算を発表したホンダは7-9月の純利益が市場予想を下回り、今期純 利益見通しを据え置いた。日産自動車は今期の純利益予想を下方修正。 経営てこ入れのため最高執行責任者(COO)ポストの廃止など役員体 制を変更していた。

国内生産300万台維持

同業他社との差が生じた要因の一つにはトヨタの国内生産比率の高 さがある。トヨタの決算資料によると、前期のグループ実績では約半分 を占め、ホンダや日産を上回った。

小平信因副社長は同日の都内での決算会見で、過去最高益だった08 年3月期上期と比べると円はいまだに対ドルで20円、対ユーロで32円の 円高であるほか、諸経費の増加などで当時から6800億円の減益要因にな っていると指摘。一方、その間の原価低減活動で同程度の利益改善を実 現したとし、「そうした努力の結果として当時の上期に近い営業利益に なった」と話した。

少子高齢化などで今後、国内市場の縮小が見込まれる中、小平副社 長は日本にはすそ野の広いサプライヤーなどトヨタが必要とする高い現 場力や技術力があるとし、同社が掲げてきた国内生産300万台を「これ からもぜひ維持していきたい」と話した。

11年10月に戦後最高値の1ドル=75円35銭を付けるなど円高が日本 の自動車メーカーを苦しめてきたが、大幅な金融緩和を掲げる安倍政権 の発足を見据えて昨年秋から円安傾向に転じた。10月以降は円安による 改善効果は徐々に薄れる見通しだ。

BNPパリバ証券の白石洋エコノミストは「円安による追い風は明 らかに弱まり、今後は実需が問題になってくる」と指摘する。

米国は堅調に推移

小平副社長は為替の業績押し上げ効果が「期を追うごとに幅が小さ くなってくるのは事実」と述べた上で、来期以降の見通しについて「自 動車ビジネスについてはグローバル経済がどうなるかが大前提になる」 と話した。

主力の米国市場については、引き続き堅調に推移すると期待してい るとしたほか、新車販売が低迷していた欧州については総需要が底打ち したとの観測もあると述べた。一方、新興国については米国の金融政策 などに影響され「不確定要因がある」と話した。

トヨタは1-6月のグループ世界販売台数で昨年に続き、米ゼネラ ル・モーターズ(GM)を上回った。また、足元の7-9月は前年同期 比2.8%増の250万台だったのに対し、GMは約240万台、独フォルクス ワーゲン(VW)が233万台だった。

トヨタの株価7日午前終値は前日比1.1%安の6280円。年初来の上 昇率は57%で、日産やホンダを上回っている。

--取材協力:萩原ゆき、向井安奈. Editors: 浅井秀樹, 中川寛之

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