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金持ちがすっかりはまる-青い目でみつめ、ささやく救いの教え

マンハッタンで資金集めの人脈が恐 らく最も広いジェニファー・マクリー氏(47)は億万長者に寄付を求め る時、相手の事務所には行かない。近所のカフェのような中立的な場所 で会う。

経済が急成長して富豪を輩出した19世紀後半の米国をマーク・トウ ェインはチャールズ・ウォーナーとの共著「金ぴか時代」で皮肉ったも のだが、マクリー氏はいわば「新たな金ぴか時代」における金持ちたち の頼れる社会貢献コンサルタントだ。ブルームバーグ・パースーツ誌が 報じている。

英プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社、アパック ス・パートナーズの米部門最高経営責任者(CEO)、ジョン・メグル ー氏もマクリー氏のアドバイスを受けた1人。両氏はともに、アフリカ で母から子へのAIDS感染を撲滅する運動に参加している。JPモル ガン・チェースの企業買収グループのCEOだったジェフリー・ウォー カー氏もマクリー氏の信奉者。両氏には共著「The Generosity Network: New Transformational Tools for Successful Fund-Raising (仮訳:寛容のネットワーク:成功する資金集めのための形を変える新 たな手段)」もある。

1%の富裕層がマクリー氏の言葉に耳を傾けるのは、彼らに対等の 立場で接触するからだろうと同氏は言う。彼らには金銭があり、マクリ ー氏には専門知識がある。いずれも単独では意味がないという。マクリ ー氏の特別な力は、ただの慈善活動をはるかに高尚な社会貢献にまで引 き上げるところにある。

社会貢献が寄付の質を変える

「慈善とは、単に小切手を切ることだ」とメグルー氏は言う。同氏 は何年もそれをやってきたが、7年ほど前にマクリー氏と出会ってから もっと個人的に関わるようになったという。同氏は母親から子供への HIV感染をなくす運動のためにビジネス・リーダーシップ・カウンシ ルを設立。アフリカへ何度も出かけ、政府で働ける現地の有能な人材を 発掘したり、他のAIDS予防機関と協力してHIV感染の妊婦のため に医薬品を供給する活動支援に携わってきた。

マクリー氏に言わせれば社会貢献とは、慈善事業への寄付金の出し 手を、歩いて話す現金自動支払機以上のものにすることだ。過去20年で 富の集中が進み、超富裕層の間では寄付意欲が高まった。寄付の目的が 税控除ではあっても、金は回り出す。ギビングUSA財団(シカゴ)に よれば、米国民による昨年の寄付金は3160億ドル(約31兆1600億円) と、2011年に比べ3.5%増えた。

マクリー氏は豪華な食事会を開いて事業に何の関心もない富裕層か ら金を集めるような慈善のあり方に疑問を感じている。慈善事業は金を 出す人間が自ら事業に関わって初めてうまくいくと、同氏はアッパー・ イーストサイドのカフェで話した。社会貢献の活動が寄付する人間を変 えれば、その人物が世界を変えるチャンスは大きくなるという。

このメッセージは新興富裕層に加え、マクリー氏がハーバード大学 で教えている資金集めに関するコースの受講者に受け入れられている。 受講生の多くは非営利団体のトップ。米国とアフリカでの公平な医療ア クセスを推進するグローバル・ヘルスの共同創業者でジョージ・W・ブ ッシュ元米大統領の娘のバーバラ・ピアース・ブッシュ氏らがそうだ。 同氏は「資金集めの私のアプローチは100%変わった」と述べた。

もう1人の受講生、ロビン・フッド財団の責任者、ローレンス・ジ ャンス氏によれば、マクリー氏のコースで最も重要な教えは、一つの目 的のために働くことは、一方が億万長者であっても対等な関係を作り出 すという点だ。

金髪のマクリー氏は青い目の視線をしっかりと相手に据え、100% 集中している様子を見せる。サムスン電子のスマートフォン(多機能携 帯電話)ギャラクシーが電話やメッセージの着信を伝えても、チェック しようとは滅多にしない。同氏はハーバードで教えることとメグルー氏 のHIV団体やその他の非営利団体との関係、いろいろな講演で得る報 酬で生計を立てている。

現代の「上流階級」と近しく付き合うのは、そのようなネットワー クが地球を救う鍵になると考えているからだ。「世界には必要な大仕事 を完了させるためのリソースがある。ただ、問題が大き過ぎるという不 安感など、それを妨げる障害はあまりにも多い」と同氏は話した。

原題:Billionaire Whisperer Teaches How to Expand Philanthropic Vision(抜粋)

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