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【日本株週間展望】決算迫力欠きもみ合い、米国や需給懸念も

11月1週(5-8日)の日本株は、 日経平均株価が1万4000円台前半でもみ合いそうだ。期待された国内企 業の決算発表は、上方修正企業が増えているものの、相場全体を押し上 げるには迫力不足とみられている。米国経済統計の低調、年末に向け株 式需給面で懸念要素もあり、レンジ相場を抜け出せない。

大和証券投資戦略部・情報課副部長の高橋卓也氏は、「市場の高い 目線と実際の業績との修正がしばらく続く。トヨタ自動車など主要企業 が上方修正を発表し、よほど空気が変われば別だが、現状はメーンシナ リオにしにくい」と言う。

10月5週(28-11月1日)の日経平均は週間で0.8%高の1万4201 円57銭と反発。余剰マネーの押し上げで米国やドイツの株価指数が史上 最高値を更新し、日本株にもリスク選好の買いが入ったほか、ドル・円 相場がやや円安方向で推移したことも支援した。ただ、先物変動の影響 を受けた側面も強く、22日から31日までは上昇と下落を交互に繰り返す 「鯨幕相場」。30日の上昇分(176円)を31日の下落(174円)でほぼ相 殺したことからも、投資家の気迷いがうかがえる。

5-6月の急落後も順調に持ち直し、9月末時点の日経平均の年初 来騰落率はプラス39%と主要国中でトップを快走。しかし10月は一転、 月間で0.9%安と先進国24市場中で唯一下げた。米国の量的金融緩和策 の縮小開始が後ずれし、ドル高・円安シナリオが後退したほか、来年4 月からの消費税率の引き上げが決まり、景気の先行きも懸念された格好 だ。年初来ではなおトップの座を維持するが、7月以降は1万5000円の 節目を抜け切れないチャートも停滞ムードを助長する。

上方修正優勢も不発、米統計低調続く

野村証券によると、調査対象の3月期決算企業のうち、10月31日ま でに決算発表を終えた企業の36%が今年度経常利益計画を上方修正した 一方、下方修正は19%で、上方修正企業が優勢。ただ、第5週も建機の コマツ、海運の日本郵船や商船三井など業界大手の間で通期計画の下方 修正を受け象徴的に売られる銘柄が散見され、決算への好感度は上がり 切れていない。

こうした状況の一因が、米国経済回復の鈍化とそれに伴う円安期待 の後退だ。米経済統計の実数値と事前予想の乖離(かいり)を示すシテ ィグループ経済サプライズ指数は、10月中旬以降に低下基調が鮮明 で、30日時点で7月以来のマイナスに転じた。29日に発表された10月の 米消費者信頼感指数は71.2と前月の80.2から低下し、落ち込み幅は2011 年8月以来の大きさだった。米連邦準備制度理事会(FRB)は29、30 両日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、毎月850億ドルの債 券購入ペースの維持を決めるなど現状の金融政策方針を据え置いた。

円安あっての株高、過去10年の11月

第5週のドル・円相場は、前の週の1ドル=96円台から98円台まで 円安方向に振れたが、9月11日を最後に100円の大台が遠のいている。 ドイツ証券の為替ストラテジスト、田中泰輔氏は「最近数カ月の米経済 見通しの気迷いをありのまま映し出す指標となっている。日本側の事情 を円相場こう着の背景要因とする説明は、本質的ではない」と強調。景 況感の改善、日本銀行の異次元緩和の順調な進捗(しんちょく)など国 内事情を見る限り、円安の下地は培われているとの判断だ。

昨年11月半ばからの6カ月間のアベノミクス相場を含め、ドル高・ 円安を可能にする「大前提は米景気回復」と田中氏。アベノミクスは過 去5年間の円高基調に沿った膨大なポジションの巻き戻しを誘発、円安 を加速させたが、「米景気回復という追い風なしには、円安も日本株の アウトパフォームも起こらなかった」と見る。

2000年以降の11月の日経平均パフォーマンスは上昇7回、下落6回 の7勝6敗ながら、過去10年では4勝6敗と分が悪い。昨年こそアベノ ミクス相場の序章で5.8%上げたが、例年11月は海外投資家の間でヘッ ジファンドの決算、年末に向けた節税対策などの売り需要が発生しやす い事情がある。さらにことしは、株式の配当や譲渡益に関する証券優遇 税制の年内終了に伴う個人投資家の売り、5日からの空売り規制の緩和 など国内発の売り圧力にも懸念が浮上している。

実際、10月の投資部門別売買動向では、米国の債務不履行(デフォ ルト)回避や日本の企業業績への期待などでリスク資産投資を続ける海 外投資家は、第4週までに4600億円買い越し。これに対し、個人は1600 億円売り越した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフストラテジスト、芳 賀沼千里氏も昨秋来の株高で含み益が発生している現状などから、「個 人の売りは出る可能性がある」と言う。ただ、市場で比較対象とされ る2003年の申告分離課税一本化を控え個人が02年11-12月に現金取引 で8000億円以上売った際は、国内の不良債権問題やエンロン、ワールド コム事件に始まる米企業財務への不信感に加え、国内金融機関の持ち合 い解消、企業年金の代行返上売りなどへの警戒もあったと指摘。今回は こうした要素はなく、好業績銘柄への投資好機になるとの認識も示す。

「11月は目立ったイベントもなく、上方修正銘柄への選別投資しか ない」と大和証の高橋氏。メリルリンチ日本証券の予想では、今年度経 常利益の予想増益率が高いのは135%の鉄鋼・非鉄を筆頭に、電力・ガ ス85%、電機・精密79%、自動車・輸送機56%、機械33%など。これら は、来年度も1割以上の伸びが見込まれている。

第1週の主要企業の決算発表予定は、5日に三井物産やLIXIL グループ、6日にトヨタ自動車、ダイキン工業、三菱マテリアル、7日 にニコン、三井不動産、ブリヂストン、8日にクボタなど。日本株に影 響を与えそうな米国の経済統計では、7日に7-9月期の国内総生産 (GDP)、8日に10月の雇用統計などがある。米雇用統計での非農業 部門雇用者数は、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想で12万5000 人増と、前月の14万8000人増からの減速が見込まれている。

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