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除染や中間貯蔵施設に国費-東電にポジティブとの評価

自民党の東日本大震災復興加速化本 部は31日に総会を開催し、東京電力の福島第一原発事故に伴う放射能汚 染の除染作業や、放射性廃棄物を一時的に保管する中間貯蔵施設の建設 に国費を投入する考えなどを盛り込んだ第3次提言案を了承した。

同本部の大島理森本部長は総会後に会見し、来週に公明党と調整し た上で政府に提出する考えを明らかにした。SMBC日興証券のシニア アナリスト、塩田英俊氏は同日付のレポートで、国費の負担や分社化案 は東電の株主にとって「ポジティブと考えられる」と指摘。1日の東電 の株価は反発している。

東電は昨年11月、線量の高い地域の除染費用や事故の被災者への賠 償だけで、東電が政府から交付国債という形で原子力損害賠償支援機構 から得る5兆円を超えるとの見解を示した。さらに、低線量地域での除 染や中間貯蔵の費用には追加で5兆円程度が必要になる可能性を示唆 し、「1企業のみの努力では到底対応しきれない」と国の支援を強く求 めていた。

了承された提言案には投入する国費の規模は盛り込まれなかったも のの、現在計画されている作業を実施した後の除染については、国が 「公共事業的観点から」行うよう国費の投入を求めた。

さらに中間貯蔵施設の建設については、「国が責任を持って管理 し、最終処分場に搬送する必要がある」ため、施設の建設や管理は「費 用の確保を含めて国が万全を期すよう検討すること」と明記。財源につ いては復興財源を使わず、エネルギー対策特別会計の中で確保すべきだ との方針を示した。

除染や中間貯蔵の費用負担は、放射性物質汚染対処特措法で東電が 負うことが定められている。国が負担するためには特措法の改正が必要 になるのではないかとの記者団からの問いに対し、大島氏は「特措法を いま変えるということは、この紙には書いていないということでご理解 いただきたい」と述べるにとどめた。

総力戦の国家プロジェクト

提言案では、海洋への流出や地下水への混入など問題が相次いでい る汚染水や廃炉については東電のみで乗り切らせることは困難だとし、 「国、東電、その他国内外の関係者」による「『総力戦』で国家プロジ ェクトを完遂しなければならない」と訴えた。

さらに国が前面に立って廃炉を進めるためには作業の実施体制を明 確にする必要があるため、東電の廃炉事業部門の社内分社化、完全分社 化、独立行政法人化などについて検討し早期に結論を出すことも求め た。

東電の広瀬直己社長は同日夕、都内で会見し「昨年11月以来、除 染、賠償、廃炉の費用を1社で負うのは無理だと思っており、そこにつ いては変わっていない」と述べた。廃炉は数十年単位の長期にわたる作 業になることから、「どういう体制で、どういう組織でやっていくのか は絶えず考えないといけない」と話した。

しかし、今後起こり得るさまざまな課題に臨機応変に対応するため には、火力発電や水力発電など異なる分野で得た経験や知識を持つ「東 電が中心になるべき」だと述べ、分社化議論に警戒感を示した。

アナリストの塩田氏は「分社化される過程で株主に負担を求められ るリスクがあるが、減資などの手法であれば、実質的な株主負担は限定 的」との見方を示した。また、現在計画中の除染の費用を東電負担と決 定された場合でも、「政府はバランスシートに甚大な影響が及ばないよ うなスキームを考案すると考えられ、リスクは限定的とみる」とコメン トした。

東電は同日、4-9月期の決算を発表。通期の業績予想は引き続き 示さなかったものの、コスト削減や修繕費の繰り延べが奏功し、4-9 月期の経常損益が1417億円の黒字(前年同期は1663億円の赤字)になっ たと発表した。2011年3月の福島第一原発事故以降初めて、半期ベース での経常黒字となった。

東電の株価は1日午前の取引で、一時前日比26円(5%)高の549 円を付けた。

--取材協力:. Editors: 淡路毅, 中川寛之

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