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安倍政権:来年4月に消費税率8%、5兆円規模の経済対策策定へ

安倍晋三首相は1日、消費税率(現 行5%)を来年4月から8%に引き上げると表明した。膨張する社会保 障費に対する財源を確保するとともに、財政健全化を進める姿勢を内外 に示す。増税に伴う景気腰折れを回避するため、12月上旬をめどに5兆 円規模の経済対策をまとめる方針も示した。消費増税は1997年に当時の 橋本龍太郎首相が5%に引き上げて以来。

首相は昼すぎに官邸開いた政府与党政策懇談会で「国の信認を維持 し、持続可能な社会保障制度を次の世代にしっかりと引き渡していく」 ため、来年4月1日から消費税率を5%から8%に引き上げる方針を明 言した。

1日午後6時すぎから開いた記者会見では、増税決断の背景につい て「わが国経済が再び希望と活力、成長への自信を取り戻す。そして国 の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡す。これら を同時に進めることが私の内閣に与えられた責任だ」と強調。その上で 5兆円規模の新たな経済対策を12月上旬に策定する方針を表明した。

消費増税は民主党政権下の昨年夏、当時野党だった自民、公明両党 も賛成して法律が成立。今の与党内では予定通り実施するよう求める声 が強かった。1997年に3%から5%への引き上げを実行した橋本政権で はその後、北海道拓殖銀行や山一証券の経営破綻など金融危機も直撃し 景気は失速。98年の参院選で大敗し、退陣に追い込まれた経緯があり、 安倍首相は経済状況を見ながら最終判断する方針で臨んでいた。

首相が判断材料の一つとしていた9月調査の日銀企業短期経済観測 調査(短観)は、大企業・製造業の業況判断がプラス12と市場を予想を 上回り、リーマンショック前の2007年12月調査以来の水準に回復した。

消費増税法では2015年10月に税率をさらに10%へ引き上げる方針が 盛り込まれているが、首相は対応方針について「改めて経済状況等を総 合的に勘案して判断時期も含めて適切に判断していきたい」と述べるに とどめた。

経済対策

経済対策には自民、公明両党で既に合意している住民税非課税の低 所得者に1人原則1万円を臨時に給付する「簡素な給付措置」などを盛 り込む予定。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは首相の表明を 受け、経済対策で「増税後も景気の大幅な落ち込みは回避されるとみら れる」とし、2015年に予定される2度目の消費増税を政治的に可能にす るため、来年度以降も「大規模な追加財政が模索される可能性が高い」 と予想。その結果、「15年後半には日本経済は完全雇用状態に至り、そ の時点になってインフレ圧力および長期金利への上昇圧力が急激に高ま り始める」との見方を示した。

税制

一方、自民、公明両党は経済対策の一環として消費増税をにらんだ 税制面での対応策を税制改正大綱としてまとめた。自民党税制調査会に 提出された大綱案によると、対応策には所得拡大促進税制の拡充策や投 資減税などが盛り込まれている。

15年3月まで法人税に上乗せして徴収される予定だった「復興特別 法人税」については「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前 提」に1年前倒しで廃止を検討することが決まった。今後は、①復興財 源を確保する②国民、中でも被災地住民の十分な理解を得る③廃止を確実 に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認する-ことなどを踏まえ た上で、12月中に結論を得るとしている。

復興増税を廃止しても約35.6%となお国際的に高い水準にある法人 実効税率の在り方も今後の焦点となる。税制改正大綱案では、「今後、 速やかに検討を開始する」と指摘するにとどめているが、首相は記者会 見で、日本の法人税は「実効税率が国際的に高い水準にある」と指摘。 そのうえで、「わが国の持続的な成長に向けて、国際競争に打ち勝ち、 世界から日本に投資を呼び込むためには法人税について真剣に検討を進 めねばならない」と与党側に議論を促した。

経済同友会の長谷川閑史代表幹事は来年4月からの消費増税決定に ついて「わが国の財政に対する国際的信認の維持、社会保障制度の持続 可能性向上に向け、避けて通れない第一歩を踏み出した意義は大きい」 と歓迎するコメントを発表。賃上げや設備投資への対応については「企 業も減税の恩恵を広く社会に還元し、経済成長を持続的でより力強いも のとするため、自らの成長に全力を傾注するとともに設備投資や賃上げ など、できる限りの努力をしていきたい」と指摘した。

--取材協力:小坂紀彦、安 真理子、中川寛之、下土井京子、Isabel Reynolds、藤岡 徹. Editor:谷合謙三、 持田譲二、平野和

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