福島第一原子力発電所の汚染水漏れ 事故で、東京電力はタンク周辺から最大で毎時1800ミリシーベルトとい う高線量の放射線が観測されたと発表した。9日間前の測定から線量が 急増していた。

東京電力が8月31日に発表した資料によると、前回の測定(同月22 日)から放射線の急増が確認されたのはH3エリアにあるタンク2基。 4号タンク底部の継ぎ目付近から毎時約1800ミリシーベルト(前回の18 倍)、10号タンクの同箇所からは約220ミリシーベルト(同3.1倍)が観 測された。

近畿大学の伊藤哲夫教授(放射線生物学)は、毎時1800ミリシーベ ルトという水準について、「4時間浴び続ければ死というものしかな く、手当てしなければ、30日以内に100%の方が亡くなる」と述べ、非 常に高いレベルだとの認識を示した。

福島第一原発ではこのほかにH5エリアで約230ミリシーベルト、 H4エリアで約70ミリシーベルトが検出された。中でもH5エリアで は、タンク間をつなぐ配管から90秒に1滴のペースで、汚染水が滴り落 ちるのを確認したという。

汚染水漏えい

東電によると、タンクの水位に目立った変化はなく、堰外への漏え いはないとしている。しかし、伊藤教授は汚染水を貯蔵するタンクの構 造に問題があり、「すごく心配だ」と話す。漏えいの起きたタンクは鋼 板の板をボルトで留め、接合部はパッキンで埋めた「フランジ型」と呼 ばれる円筒型のタンク。

同教授は、「本来ならば溶接して非常に長く持つタンクを作るのが 当然だが、汚染水がどんどん溜まるということで、急いでボルト締めの タンクを沢山作った」と指摘。寒暖で膨張したり収縮するため、シール 部分が長期間もたないという欠点があり、「次から次へと漏えいしてい る」と分析する。

同教授は、丈夫な溶接型タンクに取り替えていく必要があり、東電 に任せるのではなく、「金銭的、経済的に保証できる国が率先して指導 すべき」だとの見解を示した。

東電は8月20日、福島第一で汚染水を貯めていた地上タンクか ら300トン漏えいしたと発表していた。汚染水漏れは過去4回発生して おり、今回は量が最大。原子力規制委員会は汚染水流出について、国際 原子力・放射線事象評価尺度(INES)の「レベル3」(重大な異常 事象)に該当するとした。

経営への影響

汚染水問題の深刻化は東電の経営にも響く可能性がある。汚染水漏 れについて、エネルギー・コンサルタントであるトム・オサリバン氏 は、「福島にとって非常に深刻な問題であるだけでなく、柏崎刈羽の再 稼働に影響を与える可能性がある」と指摘している。

柏崎狩羽原発は、東電の全発電所の出力合計の約13%を占めてお り、その再稼働は東日本大震災後の2012年3月期から続く同社の経常赤 字に歯止めが掛かるかどうかのカギを握る。東電が年内に必要な5800億 円の資金提供について、金融機関側は今期(14年3月期)の黒字転換を 求めている。