【日本株週間展望】反発へ、リスク警戒和らぐ-チャートも底入れ示唆

9月第1週(2-6日)の日本株相 場は反発が見込まれている。米国の金融政策や地政学的リスクに対する 過度の警戒がやや一服、チャート上も株価の底入れを示唆している。

大和住銀投信投資顧問の門司総一郎チーフストラテジストは「米量 的緩和(QE)縮小に対する株式市場の反応はこなれてきており、大き な影響は与えないだろう」とし、「日本株は3カ月の調整を経て9月1 週あたりから調整を抜け出していく可能性がある」と予想した。

8月第4週のTOPIXは前週に比べ、3.1%安の1106.05ポイン ト、日経平均株価は2%安の1万3388円で取引を終了した。インドネシ アなど新興国で通貨安・株安が広がるなど米国の量的緩和縮小に対する 警戒が根強く、米国などによるシリアへの武力攻撃に向けた動きも売り 材料となった。

1週は米連邦公開市場委員会(FOMC)を占う上で重要な経済指 標が米国で相次いで発表される。ブルームバーグが集計したエコノミス ト予想によると、3日の8月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指 数は前月の55.4から54.0、5日のISM非製造業景況指数は同56.0か ら55.0へそれぞれ低下の見込み。

雇用統計への期待

5日の新規失業保険申請件数は33万人(前回33万1000人)、最大の 注目材料である6日の雇用統計では8月の非農業部門雇用者数は18万人 増と前月(16万2000人増)から増加ペースの拡大が見込まれている。 「新規失業保険申請件数の結果を受けて雇用統計が強めに出るとの期待 感が高まりそう」と、大和住銀の門司氏は予想する。

世界的な株価調整の引き金の一つとなった米国の長期金利上昇 も、21日の2.894%をピークに落ち着きを示している。明治安田アセッ トマネジメントの小泉治執行役員は「米量的緩和縮小は長期金利に十分 織り込んだ。利上げ時期が2015年初から早まらなければ、やや上昇が行 き過ぎている」と言う。

ゴールドマン・サックスのストラテジスト、フランチェスコ・ガル ザレリ氏らは9月17、18日に開かれるFOMCで緩和縮小が発表される 可能性があるとしている。

シリア情勢

一方、オバマ米大統領は28日、シリア政府が市民への攻撃で化学兵 器を使用したと米国は断定したと述べ、化学兵器使用が国際規範の重大 な違反で、強力な対応を必要としていると言明した。ただ、米英で対シ リア武力行使への支持確保が難航していることから、シリア攻撃の時期 は定まっていない。

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの中尾剛也シニアイン ベストメントマネジャーは、シリア情勢には不確実性があると前置きし ながらも、「株式市場への実際の影響はないだろう」と読む。「米国が 長期に軍事介入してシリアの内戦が地理的に広がっていくような話では ないため、原油高が長期化してファンダメンタルズに影響を与えるとは 市場でみられていない」と話す。

国内では2日に4-6月の法人企業統計が発表される。三井住友ア セットマネジメントの浜崎優シニアストラテジストは「同統計で設備投 資や在庫投資の数字が固まってくることから、9日に発表される4-6 月国内総生産(GDP)がどのように修正されるか見えてくる」と指 摘。企業統計結果が良好なら消費税増税観測が強まり、株式市場にとっ て「良い材料と捉えられる」と言う。

このほか、政府が東京都への誘致を目指す20年五輪の開催都市が、 アルゼンチンで7日開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会で 決定する。三菱UFJモルガン・スタンレー証券では東京での五輪開催 は経済効果が必ずしも大きくないものの、公共投資が効率を重視して東 京圏で行われれば、民間企業の投資や個人消費の拡大に結び付くと予想 している。

日経平均は6月末の窓埋めを完了

日経平均は8月以降、1万3000円台前半と1万4000円台前半のボッ クス圏で推移している。28日には2カ月ぶりの安値を付け、チャート上 では6月27日と28日の間に空けた窓(空白)を埋める「窓埋め」が完了 した。東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長によると、日経平 均が6月13日に安値を付けて底入れしたのは、4月4日と5日の間に空 けた窓を完全に埋めたタイミングだった。このため同氏は「今回の窓埋 めも底入れシグナルになると期待される」との見方だ。

売買は低水準継続も、米ダウ動向を注視

もっとも、一本調子の戻りも予想しづらい。三井住友トラスト・ア セットマネジメントの村上典之ファンドマネジャーは「米金融政策、日 本の消費税増税、地政学的リスクの行方が分からない状況ではアクショ ンは取りづらい」と語る。当面は様子見ムードが続きそうだとし、売買 エネルギーは増えないことから上値も重いだろうとみる。

米ダウ工業株30種平均は27日、直近安値だった21日の1万4897ドル を下回った。SMBC日興証券株式調査部の吉野豊チーフテクニカルア ナリストによると、同水準を下回るとテクニカル上は8月高値1万5658 ドルでの天井打ちが濃厚となり、09年を起点とする上昇波動の大規模な 揺り戻しが生じやすくなると分析。28日以降も戻りが鈍い米ダウが再び 弱含むようなら、日本株にも悪影響が波及する懸念がある。

このほかの主要日程では、米国で4日に地区連銀経済報告(ベージ ュブック)が公表されるほか、5日には欧州中央銀行(ECB)理事会 が行われ、5-6日にはロシアで20カ国・地域(G20)首脳会議が開か れる。ロシアのストルチャク財務次官は27日、G20では米金融緩和政策 と新興国への影響を軽減する方法についての議論の場を設けると述べ た。国内では日本銀行の金融政策決定会合が4-5日に開催される。

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