ドル・円は98円前半、シリア情勢など不透明要因で値動き限定

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が1ドル=98円台前半で推移した。シリア問題や米量的緩和の縮小時 期をめぐる不透明感が根強い中、ドルの値動きは限定的だった。

午後3時55分現在のドル・円相場は98円22銭前後。29日の海外市場 では4-6月の米実質国内総生産(GDP)が予想以上の上方修正とな ったことなどを手掛かりに、一時98円52銭までドル買いが進んだが、こ の日の東京市場では朝方に98円48銭を付けた後、一時98円08銭まで伸び 悩むなどややドルの上値が重い展開となった。

新生銀行執行役員で市場調査室長の政井貴子氏は、シリア問題をめ ぐっては「米国がどうするのかまだよく分からない」状況で、米量的緩 和の縮小時期についても「これだけ不確定要素が多い中で本当にわざわ ざ9月にやるのかというのも個人的には疑問に思う」と指摘。米国の債 務上限問題や日本の消費増税の行方といった不透明要因もある中で、9 月もドル・円はトレンドが出にくい状態が続く可能性が高いと話した。

ユーロ・ドル相場は海外時間に一時、1ユーロ=1.3220ドルと2週 間ぶりの水準までユーロ安・ドル高が進んだが、この日の東京市場で は1.32ドル台前半から半ばでの小動きに終始。ユーロ・円相場はもみ合 いながらも円買いがやや優勢で、1ユーロ=130円ちょうどを割り込む 場面が見られた。

シリア問題

英下院は29日夜、シリアへの軍事行動の原則承認を求めてキャメロ ン英首相が提出した動議を否決した。軍事行動に踏み切る前にアサド政 権が化学兵器を使用した事実を裏付けるより確かな証拠を求める最大野 党・労働党に与党保守党の造反組が同調した。

動議否決により、米国主導のシリア攻撃が行われる場合でも英国が 参加する見込みはなくなった。米ホワイトハウスのアーネスト副報道官 は、オバマ政権がシリアでの化学兵器使用疑惑をめぐる情報機関の分析 評価を機密扱いではない報告として、「週末までに」公表する予定を明 らかにした。

上田ハーロー外貨保証金事業部の吉松武志氏は、シリアに対する一 両日中の軍事行動の可能性は低下したが、「主な当事国となる米国のド ルは積極的に買いづらく、軍事行動が実施されるまでの間はドルの上値 は抑制される」と予想。半面、「短期間の狭いエリアの攻撃で終了する との思惑から再び米QE(量的緩和)縮小に注目が移ることになる」ほ か、軍事行動回避の可能性も残っており、「今のところ中長期的にド ル・円が上昇する見通しに変更はない」としている。

米指標

この日は朝方に消費者物価指数(CPI)などの国内指標が発表さ れたが、市場で目立った反応は見られなかった。7月の全国CPI(生 鮮食品を除くコア指数)は前年同月比0.7%上昇と2カ月連続のプラス となり、市場予想(同0.6%上昇)を上回った。また、7月の鉱工業生 産指数は前月比3.2%上昇し、2カ月ぶりのプラスとなったが、市場予 想(同3.6%上昇)を下回った。

一方、米国では7月の個人消費支出や8月のシカゴ製造業景気指数 などがこの日発表される。また、来週は注目の雇用統計など米量的緩和 の縮小時期を見極める上で鍵となる経済指標の発表が相次ぐ。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、ドル・円は 「まだ三角もち合いのレンジの中にいる」とした上で、来週も「緩和縮 小のタイミングと金額」、そしてシリア情勢が大きなテーマになると指 摘。市場では9月から緩和縮小が始まるとの見方が多いが、雇用統計が 予想外に下振れたり、「シリア情勢もあって例えば市場の流動性が細っ て金融市場が混乱するような状況」になれば、「多分緩和縮小をやるタ イミングではなくなる」と語った。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE