低所得者の入居お断り-住宅貸し渋りの背後にウォール街

アトランタで米不動産会社センチュ リー21のエージェントをしているラターニャ・モーアニューサムさん は、政府から家賃補助を得ている低所得者層の顧客の代理でもう何カ月 間も複数の家主に連絡を取り続けている。こうした家主を資金面で支援 するのはウォール街の金融機関や投資会社だ。

ブラックストーン・グループやアメリカン・ホームズ4レント、シ ルバー・ベイ・リアルティー・トラストといった企業がこの2年間、ア トランタの物件購入に余念がない。モーアニューサムさんは一部の大口 住宅購入者から、政府の家賃補助を受けている低所得者向けの物件はな いと繰り返し断られるという。先週に入ってようやくブラックストーン のインビテーション・ホームズ部門から、入居希望の申請を受け付ける と前向きな返事が一件あった。

モーアニューサムさんは「こうした投資家とやり取りするのは本当 に大変だ」と述べ、「ただでさえ環境の良い地域に家賃補助を受ける住 民を受け入れたがらないオーナーといろいろ交渉しなくてはならないの に、今度は大手企業が地域に入ってきて拒絶する」と話す。

プライベートエクイティ(未公開株、PE)投資会社やヘッジファ ンド、不動産投資信託は、全米で10万戸以上の住宅を購入しており、住 宅バブルの崩壊で最も深刻な打撃を受けたアトランタのような地域では 住宅保有の数で圧倒している。こうした企業は購入した物件を改装して 入居者を探すが、家賃補助を受ける低所得者層に貸すかどうかの決断は 家主側の利益だけでなく、長期間にわたって賃貸住宅に住む低所得者層 にも影響を及ぼしている。

信頼できる顧客ベースの可能性

ウェイポイント・ホームズ・リアルティー・トラストやシルバン・ ロード・キャピタルといった不動産投資企業は、家賃補助を受ける住人 は退去率も低く、政府が遅延せずに家賃の大半を支払うことから信頼で きる顧客ベースだと考えている。その一方で、ビーコン・エコノミクス のプリンシパル、クリストファー・ソーンバーグ氏は、投資企業の中に は低所得者層に貸す際の面倒な手続きや体面を気にして、請け負いたく ないと考えられると指摘した。その一方で彼らは長期間にわたって空き 家にすることも望んでいないと、ソーンバーグ氏は続けた。

同氏は「市場に賃貸物件が溢れつつある中、こうした投資企業は物 件を売却しないのであれば、家賃補助付きの低所得者層に目を向ける可 能性はある。単に空き家にしておきたくないからだ」と述べた。

2009年から12年にかけて住宅都市開発省(HUD)の次官補を務 め、現在は南カリフォルニア大学で公共政策を教えるラファエル・ボス ティック教授は、投資家が住宅を購入するのは家賃収入というキャッシ ュフローと住宅価値の上昇を見込んでいるためだと説明。家賃補助を受 けている住人は入居期間が長く、その分売却しにくくなるため、彼らへ の貸し出しを渋る可能性があると分析する。

ボスティック氏は「このような投資企業は賃貸物件を取り扱う人た ちではない」と述べ、「取引重視の投資家だ」と続けた

原題:Wall Street Rental Bet Brings Quandary Housing Poor: Mortgages(抜粋)

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