至高メニュ-の神髄は野菜尽くし、肉は添え物-米グルメ事情

米カリフォルニア州セントヘレナに あるレストラン「メドウッド」。ここの500ドル(約5万円)のコース メニューのスターターは一枚の葉っぱだ。ハーブの一種である「ルリジ サですよ」と給仕が教えてくれた。

葉っぱの後は、ケールチップ、ニンジンケーキ、ライ麦のマカロ ン、ユリ根、そしてダイコンの種サヤと続く。21品で構成されるコース 料理には、ラングスティーヌ(テナガエビ)やフォアグラはおろか、キ ャビアやロブスターさえも登場しない。

メドウッドだけが例外ではない。同州ロスガトスにあるミシュラン 2つ星の「マンレサ」やサンフランシスコの「アトリエ・クレン」、「 セゾン」でもコースのうち半分かそれ以上が野菜だ。

「高級食材とは必ずしもキャビアやロブスターを指すわけではない ということに、人々は気付きつつある」。マンレサのシェフ、デービッ ド・キンチ氏はそう語る。7月に同シェフが腕を振るった185ドルのコ ース料理を味わった時もキャビアやロブスターがテーブルに乗ることは なかった。

ブルームバーグ・マーケッツ誌別冊の高級ライフスタイル誌「ブル ームバーグ・パースーツ」2013年秋季号が報じている。

アジア系に人気

そう考えると、「食」をめぐる考え方は一周回って元の場所に戻っ てきたと言えるかもしれない。若い時、両親はライマメを食べるように と言っていた。大人になった今、セゾンの248ドルのコースではサンゴ ールドトマトの料理が出てくる。

9品から成る典型的なコース料理のメニューといえば、数年前まで はキャビア、フォアグラ、貝、魚、豚肉、赤身肉、チーズ、シャーベッ ト、そして濃厚な味わいのデザートで締めくくられていた。ニューヨー ク州ポカンティコヒルズのストーンバーンズにある「ブルーヒル」のシ ェフ、ダン・バーバー氏に、私がその店で2011年に食べた野菜中心のコ ースについて尋ねると、菜食中心の傾向はさらに強まっていると答え た。当時は野菜がコースの60%を占めていたと思う。「今では大体70 -80%が野菜と穀物だ」と同氏は話す。

それでも、ブルーヒルは今でもニューヨーク近郊で最も予約が取れ ないレストランの一つだ。マンレサも7月の水曜日に私がディナーを楽 しんだ際には満員だった。「この店の常連客の多くがアジア系だ。アジ ア系の人々は野菜に肉で味付けした料理を食べて育った。だから、野菜 中心の料理を新しいとは感じていない」と、キンチ氏は指摘する。

この考え方をさらに発展させれば、マンレサのキャッサバの根を魚 のソースかメドウッドのロブスターと一緒に提供することもできるだろ う。そこでは、ロブスターは重さ2ポンド(約910グラム)の料理の主 役ではなく、ユリ根や花びらの甘味付けという脇役に回る。

料理の神髄

弁護士から農家に転身したシンシア・サンドバーグ氏が運営する農 場「ラブ・アップル」は、栽培した野菜の大半をマンレサに供給してい る。この農場で作られたスイバとアイスバーグレタスが手に入ったから こそ、マンレサは「ガルグイユ」を提供するようになった。「ガルグイ ユ」はフランスの郷土料理を基に著名シェフ、ミシェル・ブラス氏が創 作した温野菜料理。キンチ氏はさらに花を数本添え優美さを演出する。 一口食べるとラディッシュの新鮮で刺激的な甘味が広がる。「これらは ノンカロリーだが、少し米国のフルーツ味菓子『スターバースト』のよ うな風味がある」と語る。

それにしても、スカッシュを蒸留して華やかに香る水に変えるメド ウッドのシェフ、クリストファー・コストウ氏の能力や、ソラマメでコ メを使わない極上のリゾットを調理するキンチ氏の料理術は、単にフォ アグラをこんがりと焼くよりも魔法のような料理の神髄に迫る技という 気がする。

世界を見渡すと動物性タンパク質よりも植物の方が圧倒的に多い。 地球上にある植物の新しい(そして古い)風味を十分に引き出そうとす るなら、シェフたちはバーバー氏やコストウ氏、キンチ氏のように、食 材の調達で動物に頼ることはずっと少なくなるだろう。

(サットン氏はブルームバーグ・ニュースの芸術・娯楽部門でニュ ーヨーク市のレストランについて執筆しています。この記事の内容は同 氏自身の見解です)

原題:Haute Vegetables Conquer $500 Menus as Meat Demoted to Flavoring(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE