米銀があと10年もがく危機後遺症-積み上げた費用は10兆円突破

JPモルガン・チェースやバンク・ オブ・アメリカ(BOA)など米6大銀行が金融危機以降に積み上げた 法務関連費用が1030億ドル(約10兆600億円)に達した。過去5年に株 主に支払われた配当を上回る規模だ。

この金額は、ブルームバーグが集計したデータを基に、弁護士や訴 訟、和解に充てられた費用を合算したもので、6行の昨年の利益を合わ せた額をも上回る。

増え続ける法務費用は、収入の伸びが鈍化する環境下で配当を向上 させる策としてコスト削減に頼る銀行に足かせとなるものだ。費用の 約40%は2012年1月以降に発生したが、規制当局や検察、投資家による 訴え追加で今後急増する可能性を銀行側は警戒している。これは株価見 通しを暗くするが、あと10年は悪影響が続くとの見方もある。

SICAウェルス・マネジメント(ニュージャージー州)で10億ド ル以上の資産運用に携わるジェフリー・シーカ社長は「これらの費用が 業績に影響を与える点で、元には戻れない地点に銀行は到達してしまっ た」と指摘。「悪影響は続くだろうし、注目も高まり始めるだろう」と 付け加えた。同社長は銀行株の買いを勧めていない。

銀行の届出書からまとめた金額によると、6行の法務費用総額の 約75%をJPモルガンとBOAで占めた。JPモルガンが08年1月以降 に法務・訴訟費用に振り向けた費用は213億ドルで、どの銀行よりも多 い。これに住宅ローン買い戻しのための引当金81億ドルが加わった。

新たな訴えも

金融危機が世界市場を揺さぶってから5年。銀行側は既に、住宅ロ ーン担保証券(MBS)販売での詐欺行為や世界的なベンチマーク金利 操作の罪を問われてきたが、ホルダー米司法長官は今月、米紙ウォール ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、向こう数カ月中に金融危機 に関連して新たな訴えを起こす意向を示している。

ブルームバーグはJPモルガンとBOAのほか、シティグループと ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・ スタンレーが米連邦準備制度のほか、米証券取引委員会(SEC)や投 資家に08年1月から13年6月にかけて宛てた四半期報告からデータをま とめた。6行の広報担当者はいずれも法務関連費用に関するコメントを 控えた。

米司法長官が追加提訴などに実際動けば、法務プロセスは何年も続 くことになる。その一部は5年に限定されようが、銀行詐欺が疑われる ケースではその倍だ。米金融機関改革救済執行法(FIRREA)に基 づけば10年で、米当局はJPモルガンやBOAに対し同法を活用済み。

カリフォルニア州金融機関局の元局長で、現在はバークレー・リサ ーチ・グループで金融機関担当コンサルティング責任者を務めるウォル ター・ミックス氏は訴えの全容に金融機関が気づいていない公算を指摘 し、「訴訟は10年以上続く可能性がある」と述べた。

原題:U.S. Banks’ Legal Tab Tops $100 Billion Amid Post-Crisis Cleanup(抜粋)

--取材協力:Keri Geiger、Dawn Kopecki、Hugh Son、Peter Eichenbaum. Editors: Rick Green, Robert Friedman

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