円全面高、内外株安でリスク回避の買い優勢-対ドル98円前半

東京外国為替市場では円が全面高。 シリアへの軍事介入不安などを背景とした内外株式相場の下落に伴い、 リスク回避的な円買いが優勢となった。

ドル・円相場は午前に一時1ドル=98円05銭と3営業日ぶりの水準 まで円高・ドル安が進行。その後日本株がプラス圏に浮上したのにつれ て98円39銭まで値を戻したが、午後の取引終盤に再び株価が下落に転じ たのを受けて98円04銭まで円が買われた。午後3時25分現在は98円14銭 前後。ブルームバーグデータによると、円は主要16通貨全てに対して前 日終値比で上昇している。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラ テジストは、ドル・円相場について、200日移動平均線が徐々に上昇し て現在は94円台半ばに位置しており、来月初めには95円台に乗せてくる と指摘した上で、「95円を大幅に割り込んでいく円高水準にはもうなら ないだろう」との見通しを示した。

前日の米国株式相場は、シリアによる化学兵器の使用疑惑をめぐる ケリー米国務長官の発言を受けて3営業日ぶりに反落し、S&P500種 株価指数は前営業日比0.4%安の1656.78で終了。この日の東京株式市場 では、TOPIXが前日比0.5%安の1134.02、日経平均株価は同0.7% 安の1万3542円37銭と続落して引けた。

ケリー長官は26日、「世界で最も凶悪な兵器を世界で最も弱い人々 に使用する者に責任がある」とオバマ大統領が確信していると述べた。 カーニー大統領報道官の記者団への説明によると、オバマ大統領はどん な行動を取るべきかについて決断をまだ下していない。

植野氏は、シリア情勢について「展開次第では、短期的にはドルを 買いにくくなり、円高材料となる可能性は否定できない。地政学リスク の高まりで安全資産としての米国債需要が高まれば米金利が低下してド ル安・円高要因となる。加えて、一定の流動性がある通貨の中で戦争か ら縁遠いとされるのが円とスイスフランだ」と説明。その一方で、シリ ア情勢が米国の量的緩和(QE)縮小に「著しい影響を及ぼすほどの状 況にはならないだろう」との見方も示した。

前日の米国債市場では、7月の米製造業耐久財受注が前月比 で7.3%減少と、2012年8月以来で最大の減少率となったのを受けて、 米10年国債利回りが16日以来となる2.70%台に低下。米金融当局が債券 購入プログラムを縮小させるとの観測が後退した。

こうした動きに沿う形でドル・円相場はニューヨーク時間に一時98 円27銭まで円が買われたものの、その後は98円50銭を挟んで上下する展 開に戻っていた。

バークレイズFXストラテジストの逆井雄紀氏(ニューヨーク在 勤)は米国時間のドル・円の動きについて、「米国の耐久財受注が弱か ったので、金利が低下して、ドルが多少下げたという感じ。ただ全体的 な動きは1日通してみるとあまり大きくはない」と指摘。また、「耐久 財はボラティリティの高いデータなので、非常に振れることが多く、あ まり為替という観点では大きく反応することはない」とも述べていた。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 山中英典

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