メリルリンチ元研修員、ワイン作りの夢かなう-ブルゴーニュ

夏は終わりに近づいているが、人生 を変え、生き馬の目を抜く金融業界からワイン作りの緩やかな時間の流 れに身を任せる日々への転身について考える時間はまだ残っている。

米メリルリンチの証券業務の元研修員、レイ・ウォーカー氏は現 在、フランスのブルゴーニュ地方のテロワール(育成環境)に魅せら れ、そこに住んでいる。思いがけない幸運が続き、わずかな資産を元手 に夢見ていた以上の成功を収めた。

2009年には28歳で、赤ワインがナポレオン皇帝に愛されたことで知 られるブドウ畑、シャンベルタンのブドウを使ってワインを生産する初 の米国人となった。

ウォーカー氏はニューヨークのバー「プレイアデス」で、カリフォ リニア州からほとんど資金を持たずにフランスのボーヌ村に移り住み、 妻と保有する銘柄メゾン・イランでプルミエ・クリュ(1級)とグラ ン・クリュ(特級)に格付けされる畑のブドウを使って赤ワインを生産 するようになった経緯を語り始めた。

「私は負け犬でいることが好きだ。その上、予備の計画もなかっ た」。

32歳になったウォーカー氏は、自身のワイン作りについての歩みを 著書「The Road to Burgundy: The Unlikely Story of an American Making Wine and a New Life in France(仮訳:ブルゴーニュへの道- 米国人がフランスでワインと新たな人生を作る思いも寄らぬ物語)」に まとめ7月に出版した。

ワインとの出会い

カリフォルニア州オークランドのワインを飲まない家庭で育ったウ ォーカー氏は家業の不動産事業に携わった後、金融業界に足を踏み入れ た。

05年初めに当時婚約者だった妻とイタリアを旅行した際、ワインに 夢中になった。その6週間後、サンフランシスコで初めてブルゴーニュ 産白ワイン、ドメーヌ・デ・コント・ラフォン・ムルソー・クロ・ド・ ラ・バール02年を試飲した時、衝撃を受けた。

「その白ワインもおいしいと思ったが、その後に飲んだブルゴーニ ュ産赤ワインも信じられないほど素晴らしかった」と振り返る。

古いワインに関する本に載っていた地図でブルゴーニュ地方にある 数百に上るブドウ園の名前と場所を覚え、テロワールとワイン作りに関 する伝統的な考え方を学んだ。

金融業界に入ってわずか7カ月の26歳の時、ウォーカー氏はスーツ を脱ぎ捨て、まずいコーヒーを飲んでいたオフィスを後にしてカリフォ ルニア州ソノマのワイナリー「フリーマン」で収穫期を過ごし、ピノ・ ノワール(赤ワインの原料となるブドウ品種)の醸造を手伝った。

幸運の女神

それから1年たたないうちに、ウォーカー氏はワインフォーラムで 調達した資金と寛大な支援者が出資してくれた2万ドル(現在のレート で約200万円)を持ってブルゴーニュ地方に向かった。映画を見て覚え たフランス語はぎこちなかった。

「あらがうことのできない何かに呼び止められ、全てをやめて人生 を変えなければならない時があるものだ」と、真剣に話す。

うまくいかない日々が数カ月間続いた後、幸運の女神がほほ笑ん だ。ある仲介業者がグラン・クリュのブドウ畑、シャルム・シャンベル タンとシャンベルタンからブドウを提供すると申し出た。価格は13万ド ル。支援者が小切手を送ってくれた。

最初の年には2800本のワインを生産。ウェブサイトのワインフォー ラムに自身のワイン作りについて掲載すると、その70%が売れた。2年 目には110万ユーロ(現在のレートで約1億4500万円)の総収益を上げ た。

「私はいつも見守ってくれる人々に恵まれている。彼らが夢を応援 してくれて幸運だ」と、ウォーカー氏は語った。

(マッコイ氏はブルームバーグ・ニュースでワインやスピリッツに ついて執筆しています。この記事の内容は同氏自身の見解です)

原題:Merrill Lynch Man Achieves Burgundy Winemaker Dream: Elin McCoy(抜粋)

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