CEOの高額報酬は幸運のなせる業-女性経済学者が実証

労働経済学を専門とする米エコノミ スト、マリアンヌ・バートランド氏(43)が大学院在学中に着手した研 究は、最高経営責任者(CEO)の報酬に対する株主の反感を煽るきっ かけとなった。

現在、シカゴ大学ブース経営大学院の教授を務めるバートランド氏 はハーバード大学博士論文提出資格者として取り組んだ研究に基づき執 筆した2001年の論文で、米国の石油会社のCEOの報酬について、 CEOにはコントロールできない原油の国際価格の変動で企業収益が改 善した際に引き上げられていたことを実証した。同氏の調査によると、 この種の幸運に基づく報酬引き上げの現象は、多国籍企業では経営戦略 より為替相場の変動によって業績が押し上げられた際に見られた。

機関投資家協議会(ワシントン)の調査ディレクター、グレン・デ ービス氏は「マリアンヌ(・バートランド氏)の研究は、企業幹部の報 酬とコーポレートガバナンス(企業統治)に関する従来の考え方への挑 戦だった」と指摘する。

上場企業の企業投資リスク評価を手掛けるGMIレーティングスの 創業者でディレクターのネル・ミノウ氏によると、バートランド氏の研 究は、CEOの報酬はインセンティブを提供したり業績に報いたりする 上で効果的手段との考え方について虚偽性の証明を図る物言う株主らに 影響を及ぼしている。

「私はバートランド氏の研究を大いに支持している。彼女の分析 は、最高水準の報酬の大部分が個々の企業、ましてや企業幹部個人では なく、市場またはセクター全体のパフォーマンスに関連していることを 示す上で説得力がある」とミノウ氏は語る。

SECが見直し

この問題への株主の関心が高まる中、米証券取引委員会(SEC) は06年7月に約10年ぶりに企業幹部の報酬に関する規則を包括的に見直 す案を承認。企業に対し、報酬額上位5人の幹部の給与と手当、株式を 含む報酬総額の報告を義務付けた。11年1月には株主が幹部報酬につい ての協議に加わる権利を認めた。

ブース経営大学院のロバート・ガートナー副学部長はバートランド 氏について、あまり例を見ないエコノミストだと語り、問題に取り組む 際に既存のデータを利用することもあれば自身で実験を試みることもで きると指摘。「彼女の長所は、破壊的な影響力を持つ非常に大きなトレ ンドを認識し、人々が決断や行動に至る複雑な道筋について極めて的確 な証拠を提示する点だ」と述べた。

原題:Proving CEOs Overpaid for Luck Helped Bertrand Stir Pay Backlash(抜粋)

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