トヨタ:部品メーカーへの支給鋼材を下期約12%値上げへ

国内最大の自動車メーカー、トヨタ 自動車は今年度下期(10-3月)に系列主要部品メーカーに支給、販売 する鋼材価格を上期(4-9月)比約12%値上げする方針を伝えた。

事情に詳しい関係者3人が非公開情報のため匿名を条件に明らかに した。それによると、トヨタは21日に開いたサプライヤーとの会合で、 下期に部品メーカーへ支給する熱延鋼板について、1トン当たり7 万4500円と上期に比べ8000円の値上げを通知した。上期は前年度下期比 で8000円の値下げだったという。トヨタ広報の酒井良氏はコメントを控 えた。

トヨタは新日鉄住金などの鉄鋼メーカーから大量購入した鋼材の一 部を取引先の部品メーカーに販売している。関係者1人によると、リー マンショック後の需要低迷やその後の急激な円高を背景にトヨタの支給 鋼材価格は値下がり傾向が続いていたという。自動車産業のすそ野は広 く、トヨタの支給材価格の値上げが幅広い業種に波及していけば、安倍 晋三政権が目指す継続的な物価上昇を下支えする可能性もある。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の黒坂慶樹アナリストは、鉄 鋼メーカーは期初から市場価格の値上げを試みてきたものの浸透しなか った、と指摘。今回の決定で関連製品の値上げがしやすくなるなどの 「波及効果はある」と話した。一方、支給材の値上げ分は部品の買い取 り価格に上乗せされるため、部品メーカーには影響せず、鋼材の値上げ は業績好調のトヨタが引き受ける形になると説明した。

23日午前の東京市場では、中堅鉄鋼メーカーの株価が上昇。トヨタ グループの愛知製鋼株が一時、7月31日以来の日中上昇率となる前日 比4.7%高の510円まで値を上げたほか、大同特殊鋼株は前日比3.6%高 の546円、日立金属株が同3.2%高の1173円で午前の取引を終えた。

7月23日付の日本経済新聞は、トヨタと新日鉄住金が今年度上期の 鋼板価格を前年度下期比で1トン当たり1万円(約10%)値上げするこ とで合意したと報じていた。トヨタの部品メーカーへの支給鋼材の価格 は、これを受けて決められた。

円は戦後最高値から下落

11年10月に戦後最高値の1ドル=75円35銭を付けた円相場は、安倍 政権の発足を見据えて昨秋から円安が進行した。主力市場の米国販売も 好調なトヨタの業績は急回復しており、今年度の純利益は前年度比54% 増の1兆4800億円を見込む。一方、鉄鋼は国内最大手の新日鉄住金が前 年度に最終赤字を計上するなど苦戦を強いられてきた。

立花証券の入沢健アナリストは、トヨタの支給材値上げは安倍政権 のアベノミクスが目指す物価上昇の浸透の一例とも受け取れると話し た。トヨタの支給材価格は部品メーカーと鉄鋼メーカーの個別交渉の参 考にされるといい、その値段が上昇に転じることは、鉄鋼メーカー側に とってメリットになり、特に自動車関連事業の比率が高いメーカーへの 「インパクトは大きいと思う」と述べた。

新日鉄住金の前年度決算の説明資料によると、前年度の国内鋼材消 費は6125万トンだった。そのうち、普通鋼鋼材消費は4881万トンで、自 動車産業向けが1152万トンと4分の1近くを占めている。

--取材協力:Ma Jie. Editors: 浅井秀樹, 杉本 等, 中川寛之

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE