投資マネーが先進国に還流-景気悪化のアジアは厳しい時期に

世界の成長エンジンとしてのアジ アの役割が後退している。アジア全般に経済が弱まる中、投資家は資金 を域内から大量に引き揚げている。

インド・ルピーは20日に過去最安値を更新。タイはリセッション (景気後退)に陥り、インドネシアは経常赤字の拡大でルピアが2009年 以来の安値に下落した。中国の銀行の不良債権は増加しており、今週発 表のマレーシアの経済成長率は2四半期連続で5%を下回るとエコノミ ストは予想している。

流動性の低下や中国の景気減速による商品や製品の需要不振などか ら、アジア経済の先行きが曇る中、新興市場の株価下落に拍車が掛か り、回復が始まった米国や欧州に投資資金が還流している。米国の金融 刺激策の縮小観測を背景に、ブラジルやインドネシアなどの新興国は域 内資産への需要減少見通しから、自国通貨の下支えを目指して今年利上 げを実施した。

ヘッジファンドのSLJマクロ・パートナーズの共同創業者で元モ ルガン・スタンレーの外国為替戦略責任者のスティーブン・ジェン氏は 「4年前に米国を襲い、2年前に欧州をさまよった台風の目は現在、新 興国の上空にある」と指摘。「これはアジアにとって重大なことになり かねない」と語った。

ブラックロック・インベストメント・インスティチュートによれ ば、今年1-7月期に先進国株の上場取引型金融商品(ETP)に は1556億ドル(約15兆円)が流入。地域別内訳は65.8%に相当する1024 億ドルが北米のファンド、日本が過去最高の280億ドル、欧州が43億ド ル。一方、新興国ファンドからは76億ドルが流出した。

揺り戻し

AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者、シェーン・ オリバー氏(シドニー在勤)は「振り子が先進国の方に戻りつつある」 と述べ、アジアは「今までよりも厳しく大変な時期に入った」と指摘し た。

国際通貨基金(IMF)は7月、今年のアジアの途上国の成長率予 想を0.3ポイント下方修正し6.9%とした。

過去3カ月にMSCIアジア太平洋指数は7.7%下落したのに対 し、S&P500種株価指数は1.2%安、ストックス欧州600指数は1.6%安 にとどまっている。米景気改善の兆しを受けて連邦準備制度理事会 (FRB)は来月にも月間850億ドルの債券購入の規模縮小に着手する 可能性がある。

インドネシアの株価指標は過去2営業日に10%強下落した一方、イ ンド株は約3%、タイ株は6%強、それぞれ値下がりしている。

JPモルガン新興市場通貨指数はバーナンキFRB議長が6月19日 に緩和策縮小に言及して以来、2.4%下落した。主要10通貨に対する米 ドルの動きを示すブルームバーグ・ドル指数はその間にほぼ変わらずだ った。コタク・マヒンドラ銀行のエコノミスト、インドラニル・パン氏 は「新興アジア経済台頭の筋書きは崩れつつあり、ドルが再び王様だ」 と指摘した。

今月21日には7月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録 が公表される。FRBが月間850億ドルの資産購入をどの程度のスピー ドで縮小するかの手掛かりを求めて投資家は注目している。ブルームバ ーグがエコノミストを対象に今月9-13日に実施した調査では、来月に 債券購入額の削減が開始されると予想したのは全体の65%だった。

原題:Capital Flows Back to U.S. as Markets Slump Across Asia: Economy(抜粋)

--取材協力:黄恂恂、Adi Narayan、Unni Krishnan、Karthikeyan Sundaram、Sharon Chen、Chong Pooi Koon、Richard Frost、Nguyen Kieu Giang. Editors: Adam Majendie, Sunil Jagtiani

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