【コラム】FRB議長人事、男対女の問題ではない-コーハン

米連邦準備制度理事会(FRB)の 次期議長人事をめぐって、男性対女性、あるいは量的緩和維持か緩和縮 小かといった観点から議論されている。

2人の有力候補のうち、イエレン副議長はFRBの量的緩和政策の 継続を支持している。一方、財務長官のほか、国家経済会議(NEC) 委員長、ハーバード大学学長などあらゆる要職を歴任してきたサマーズ 氏は、緩和策の縮小を望んでいるらしい。

両方の説はどちらも大きく的を外れている。ワシントンの政治文化 にメスを入れたマーク・リーボビッチ氏の著書「ディス・タウン」を読 んだ人にとっては明白だが、イエレン氏対サマーズ氏の議論は、数十年 年間続いてきた「ザ・クラブ」に所属するインサイダーと、そこから除 外されているアウトサイダーとの主導権争いの一例に過ぎない。クラブ のインサイダーは当然ながらサマーズ氏を支持し、アウトサイダーはク ラブによるワシントンの権力支配を弱めたいと考え、イエレン氏を支持 している。

経歴に意味があるというなら、両候補とも十分すぎるほど適任だ (オバマ大統領は最近、コーン前FRB副議長を次期候補として言及し たが、なぜこのような重要なポジションの候補がサマーズ氏とイエレン 氏の2人に絞り込まれたのかは明らかに疑問だ)

有力者ルービン氏

ワシントンの有力者、ロバート・ルービン氏と長らく友人関係にあ るおかげで、サマーズ氏はクラブの創立会員だ。オバマ大統領の経済顧 問はほぼ全員、ルービン氏の信奉者だ。サマーズ氏はハーバード大の歴 史で最も若い終身教授の一人となった1986年にルービン氏と出会った。 ルービン氏は当時、米ゴールドマン・サックス・グループの債券部門責 任者を務めていた。

両氏を引き合わせたのは、サマーズ氏とハーバード時代から知り合 いのゴールドマンのトレーダー、ジェイコブ・ゴールドフィールド氏だ った。ゴールドフィールド氏は当時マンハッタン・ダウンタウンのブロ ードストリート85番地にあったゴールドマン本部のルービン氏の会議室 で、両氏の最初のランチをお膳立てした。

報道によると、サマーズ氏は近年、シティグループで有給の顧問を 務めた。ルービン氏は1999年に財務長官を退任後、シティに移籍してい た。シティはルービン氏に10年間の勤務で1億2000万ドルを支払った。 金融危機の際、シティは連邦政府から公的資金450億ドルの注入を受け た。

このような話はまだまだ続く。結論はもちろん、サマーズ氏はクラ ブの一員だが、地区連銀総裁やカリフォルニア州立大学バークレー校の 教授といった輝かしい経歴があってもイエレン氏はそうではない、とい うことだ。

男対女

これは男対女の問題ではない。財務省などでルービン、サマーズ両 氏の下で働いた米フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責 任者(COO)もクラブの一員だ。サンドバーグ氏が関心があるなら、 オバマ政権の高官としてすぐに迎えられるだろう。

バーナンキ氏が2010年にFRB議長に再任される前、サマーズ氏が 議長就任を望んでいるとのうわさがワシントンで広がった。サマーズ氏 は当時、オバマ政権でNEC委員長を務めており、私は雑誌バニティ・ フフェア向けに同氏のプロフィール記事を書いていた。私はサマーズ氏 にFRB議長になりたいか聞いてみた。同氏の答えはあいまいそのもの だった。今なら分かるが、議長になりたかったからだ。

オバマ大統領にとって、真の問題はサマーズ氏とイエレン氏のどち らを選ぶかということではない。ルービン氏とクラブが引き続き、政権 の経済関連の人事を支配し、富裕層を優遇する景気回復のかじ取り役を 続けるのか、ということだ。(ウィリアム・コーハン)

(コーハン氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。同氏 はラザード・フレール、メリルリンチ、JPモルガン・チェースで投資 バンカーとして働いた経歴がある。このコラムの内容は同氏自身の見解 です)

原題:Fed Chairman Row Pits Insider Against Outsider: William D. Cohan(抜粋)

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