スイスの富裕層、貸金庫に金の延べ棒保管-軍の旧施設転用も

欧州債務危機さなかの3月、キプロ ス政府が残高10万ユーロ(約1300万円)以上の銀行口座に課税する案を 提示した翌週、ルネ・ブッフワルダー氏の事業は繁盛した。

「この金の延べ棒は最もよく売れる商品の一つだ」。ブッフワルダ ー氏はスイスのUBSの元バンカー。運営する金銀取引会社プロ・アウ ルムの保管庫ではコインがきちんと積み重ねられている。同氏は手を伸 ばし100グラムの金の延べ棒を選び出した。「これは小分けできるし、 欧州連合(EU)が崩壊した場合には貨幣として利用することもでき る」と語る。

ユーロ圏は過去最長のリセッション(景気後退)を経験し、4-6 月(第2四半期)にようやくプラス成長に回復したばかりだ。そんな 中、スイスでは金の延べ棒と金貨の保管需要が拡大している。金相場は 今年に入って約20%下落しているものの、一部の投資家は金について債 券など他の資産よりリスクが低いと見ている。債務は不履行となる可能 性があり、株式を発行している企業は破綻するかもしれない。

サクソ・バンク(コペンハーゲン)の商品戦略責任者、オーレ・ハ ンセン氏は「富裕層の個人は金融システムの健全性に依存している。投 資資金の一部を保管庫に移せば、リスクの範囲を縮小できる」と指摘す る。

購入も可能

チューリヒ近郊の湖畔の町、キルヒベルクにあるプロ・アウルムの 保管庫では、カメラが天井に設置され注文を処理する従業員たちを撮影 している。顧客は700個ある貸金庫の一つで貴重品を保管できるほか、 銀行取引明細書など資産を証明する書類を提示しなくても最高10万スイ ス・フラン(約1050万円)相当の金地金を現金で購入することができ る。

ブッフワルダー氏の顧客の約半数がスイス人で、残りを欧州各国が 占める。同氏によると、プロ・アウルムはオーストリアとドイツにも支 社があり、年間「10億フラン相当を超える」金銀を取引し、キルヒベル クの保管庫では店頭とオンラインでの取引に対応するのに十分な量の金 銀が保有されている。

ブッフワルダー氏によると、現在では個人の保管需要に対応するた め、利用されなくなったスイス軍の旧関連施設が保管庫に改修されてい る。

原題:Gold Investors Seek Alpine Safe Haven in Swiss Army Bunkers (2)(抜粋)

--取材協力:Alex Pashley、Nicholas Larkin. Editors: Robert Valpuesta, Simon Thiel

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