【日本株週間展望】先物主導で荒い、日米政策待ち長期勢静観

8月3週(19-23日)の日本株は株 価指数先物の動きに振らされ、荒っぽい相場が続きそうだ。夏季休暇中 の国内外投資家は依然多く、特に長期資金は米国の金融政策、日本の消 費税引き上げの実施有無を見極めようと様子見姿勢を強めている。要人 発言などに一喜一憂する短期資金の影響を受けざるを得ない。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏 は「参院選以降、CTA(商品投資顧問)とみられる先物売買の影響で 異様な振幅が続く」と指摘。世界のマネーフローに影響を与える米国の 量的緩和策の縮小有無は、9月初めの雇用統計を受け道筋が見えると言 い、「それまではロング(買い)オンリーの長期投資家は動かない。実 需筋が戻ってこない以上、明確なトレンドは出ない」と予想する。

第2週の日経平均株価は、前の週末に比べ0.3%高の1万3650円と 小反発。海外要因では米金融政策の方向性、国内面では税制をめぐる思 惑に揺れ動いた。4-6月の実質国内総生産(GDP)速報値が前期比 年率2.6%増と市場予想に届かず、安倍晋三首相が来年4月実施の有無 を秋に判断する消費税増税の行方に不透明感が広がっている。一部報道 をきっかけに、景気腰折れを防ぐ法人税率の引き下げ観測が浮上した が、菅義偉官房長官や麻生太郎財務相から報道内容を否定する発言が出 て、市場の期待は水泡に帰した。

GDPの伸び率は予想以下だったが、プラス成長は3四半期連続。 バークレイズ証券のチーフエコノミスト、森田京平氏は「この成長率で あれば、現行法通り消費税率は引き上げられるだろう」と分析。景気の 弱さと解釈する必要はなく、2014年1-3月期に向け、日本の経済成長 率が主要7カ国(G7)でトップになるとの見方を維持する。

景気と借金の狭間

国際通貨基金(IMF)は8月初めに公表した日本に関する年次リ ポートで、安倍政権の経済政策である「3本の矢」に評価を与えつつ も、海外景気などのリスク、具体的な財政健全化と成長への施策の必要 性を強調。理事会では、15年までに消費税率を現行の2倍に引き上げる という日本政府の計画をおおむね支持したが、数人から経済成長への悪 影響の可能性に懸念も示されたという。

スイス系プライベートバンク、ロンバー・オディエのアジア担当最 高投資責任者(CIO)であるプラナイ・グプタ氏は、消費税引き上げ は「日本国債市場の安定を図る上で重要な柱。とはいえ、増税は国内需 要に大きなマイナス要因となろう」と指摘。景気に及ぼす影響を軽減す るとともに、財政規律を維持するために信頼し得る代替案、段階的な増 税を示す必要があるとしている。市場参加者も判断をつきかねており、 来月9日発表の4-6月GDPの改定値などを受けた政府判断の方向 性、市場の反応が一段と収れんされることが待たれる。

投資部門別売買動向を見ても、日本株上昇を引っ張ってきた海外投 資家の様子見姿勢は顕著。日米双方の不透明要因から8月1週には1010 億円売り越し、およそ1年ぶりの3週連続売り越しとなった。東証1部 の1日当たり平均売買高も、5月の46億株から6月は33億株、7月は27 億株と漸減、8月は16日までで22億株にとどまる。こうした中、ヘッジ ファンドら短期資金による先物を使った売買が相場への影響力を増して おり、日経平均の先物(中心限月)売買高を現物売買高で除した比率は 7月の0.004%に対し、8月は0.005%と3割上がった。

米国株に暗雲、欧州見直しの動きも

景気の回復傾向などを評価し、強い動きを見せていた米国株にもや や暗雲が広がってきた。S&P500種株価指数は2日に史上最高値を付 けた後、調整しており、緩和策の縮小観測による米長期金利の上昇が嫌 気された15日の取引では、約2カ月ぶりの下落率を記録した。

世界的投資家のマーク・ファーバー氏は9日の米CNBCテレビ で、S&P500指数は2割程度下落する可能性があると言及。企業業績 の伸びの鈍さ、52週高値銘柄の数が減少傾向をたどる半面、52週安値銘 柄の数が多くなっている点を挙げ、ブラック・マンデーのあった「1987 年と現在とは似ている」とした。

上値の重さが顕著な日米株式は、国際分散投資の観点から欧州株が 戻り歩調にあることも影響しているようだ。欧州連合(EU)統計局 が14日に発表した4-6月の域内GDP速報値は前期比0.3%増え、エ コノミスト予想の0.2%増をやや上回った。7四半期ぶりのプラス成長 で、過去最長の景気後退局面から抜け出した。

米BOAメリルリンチが毎月行う世界ファンドマネジャー調査によ ると、8月の日本株配分状況はプラス19%と前の月から8ポイント低 下。一方、今後1年間にオーバーウエートにしたい市場としてはユーロ が躍進し、「日本株・米国株からのシフトが見られた」とメリルリンチ 日本証券の株式ストラテジスト、神山直樹氏は指摘している。

第3週に注視される材料は、国内では19日に7月の貿易収支、20日 に7月の全国百貨店売上高、21日に7月の訪日外国人数、22日に気象庁 の3カ月予報など。海外では22日に米国で7月の景気先行指数、中国で 8月のHSBC製造業購買担当者指数(PMI)が発表される。

日本の貿易収支は、原油価格上昇などによる赤字拡大が予想され、 為替が反応する可能性がある。また、国内消費関連のデータ公表が多 く、百貨店や空港関連施設、飲料など猛暑銘柄が好業績期待で動く場面 も出てきそうだ。12日には、高知県四万十市で国内観測史上、最高気温 となる41度を記録した。列島全体を猛暑が襲う中で季節消費は好調に推 移。ビール酒造組合の発表によると、7月のビール出荷数量は国産、輸 入の合計で前年同月比5.6%増だった。

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