円が上昇、法人税率引き下げ期待が後退-対ドルで一時97円59銭

東京外国為替市場では円が上昇。法 人実効税率の引き下げをめぐり、政府要人から否定的な発言が相次いだ ことを受けて、円買いが強まった。

この日のドル・円相場は午前の取引後半から午後の取引前半にかけ て円買いが加速。安倍晋三首相から法人税率引き下げに関する指示はな かったとの閣僚発言などを受けて、円は株価の下落などを伴って一時は 2営業日ぶりの円高水準となる1ドル=97円59銭まで買われた。午後3 時19分現在は97円80銭前後で推移している。

楽天証券の相馬勉債券事業部長は、「消費増税の行方に市場が神経 質になっているところで、閣僚から法人税引き下げの効果はないとの発 言も加わって、株価が下がり、円高、リスクオフ(回避)の動きとなっ ている」と述べた。

麻生太郎財務相は、この日の閣議後の会見で、法人実効税率の引き 下げについて、「首相の指示はなかった。法人税率引き下げの効果は少 ない」と発言。菅義偉官房長官も同税率引き下げに関して、安倍首相が 指示した事実はないと述べた。

13日付の日本経済新聞は、安倍首相が法人税の実効税率の引き下げ を検討するよう関係府省に指示したことがわかったと報じた。来年4月 から消費増税を決めた場合、引き下げ方針をあわせて打ち出し、景気の 腰折れ懸念を払拭(ふっしょく)する狙いという。同日の海外市場では 法人税の引き下げ観測が円を売る要因となり、ユーロに対し終値ベース で9週間ぶり最大の下げを記録した。

一方、消費税の見直しをめぐっては、麻生財務相はこの日の会見で 4-6月期国内総生産(GDP)が3期連続のプラス成長となったこと を受けて、「消費増税の判断に向けては良い影響を与えた」とも語っ た。

楽天証の相馬氏は、「浜田宏一内閣官房参与から消費税増税を先送 りし景気回復を優先させるべきとの発言が出ていた。しかし消費税増税 の先送りはなく、法人税引き下げも意味がないという発言が出てきて、 政府内でも方針が固まっていない印象を与えている」と分析した。

東京株式相場でTOPIXは午後に下げ幅を拡大し、前日比1.7% 安の1151.82で取引を終えた。日経平均株価の終値は297円22銭安の1 万3752円94銭だった。

米経済指標に注目

同時刻現在のユーロ・円相場は1ユーロ=129円95銭前後、ユー ロ・ドル相場は1ユーロ=1.3287ドル前後で推移している。

今夜は米国で量的緩和縮小の実施時期を見極める上で、市場関係者 が注目する消費者物価指数(CPI)、新規失業保険申請件数、鉱工業 生産などの経済指標が相次いで発表される。ブルームバーグ予測調査に よると、7月の食品・エネルギーを除くCPIは前年比2.0%上昇、10 日までの週の新規失業保険申請件数は33万5000件、7月の鉱工業生産は 前月比0.3%増加が見込まれている。

上田ハーロー外貨保証金事業部の吉松武志氏は、米経済指標の結果 が量的緩和の早期縮小観測を強めることになるかに注目しており、指標 結果が市場の予想を上回る改善となれば、ドルの上値を試す展開が続く と予想している。

--取材協力:大塚美佳、Mariko Ishikawa. Editors: 崎浜秀磨, 山中英 典

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE