「全天候型」ファンドにも盲点-ダリオ氏動かした金利リスク

債券相場が大きく崩れた6月下旬、 世界最大のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツ を率いるレイ・ダリオ氏は顧客会議を開いた。どんなシナリオにも幅広 く対応できるよう設計したファンドが、金利見通しの変化にあまりにも 脆弱(ぜいじゃく)であることを告げるためだった。

6月24日の電話会議に参加した、あるいは会議記録を読んだ顧客に よれば、ブリッジウォーターは数カ月に及ぶ検証作業を基に、同社の 「オール・ウェザー」ファンドが運用するさまざまな資産の金利敏感度 を過小に評価していたと認め、リスク緩和措置を講じていると説明し た。ファンドの書類や投資家が提供したデータによれば、同月末までに ブリッジウォーターは米国債やインフレ連動債(TIPS)など、オー ル・ウェザーが抱えていた金利敏感資産370億ドル(約3兆6300億円) 相当を売却した。

米金融当局が債券購入の縮小開始に向けた準備を示唆した5日後に ブリッジウォーターが起こした行動は、同社ファンドとしては異例の措 置だ。全天候型を意味するオール・ウェザーという名の通り、同ファン ドはほぼどんな経済環境下でもリターンを生み、見通しが変わっても資 産配分の変更が必要ないように設計されているからだ。非公開ファンド だとして匿名を条件に語った顧客によれば、同ファンドの第2四半期の 運用成績はマイナス8.4%。損失の大半が560億ドル規模のTIPSポー トフォリオ関連だという。

オール・ウェザーや同様ファンドの成績低下は、ブリッジウォータ ーが先駆けた株式と債券の間で資産を配分するリスク・パリティ(等 価)として知られる戦略では、過度に金利上昇リスクにさらされ得るこ とを示す。TIPSへの売り浴びせは一部ファンドの損失を増幅させ、 米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビ ル・グロース氏が運用するトータル・リターン・ファンドも不意を突か れた。

こうした展開について、UBSインベストメント・バンクのグロー バル資産配分ストラテジスト、ラミン・ナキサ氏は「これから本格的に 起きることの予兆にすぎない」と語る。6月の米国債やTIPSの急落 は、米金融当局が量的緩和策である債券購入の縮小を実際に開始する際 のボラティリティの高まりに向けた「ドレスリハーサル」にすぎないと 付け加えた。

オール・ウェザーの顧客4人によると、ブリッジウォーターは名目 金利に対するリスク軽減で米国債と関連先物を売ったほか、実質金利リ スクへの対応としてTIPSを処分した。

同社に詳しい関係者によれば、売却は長期の調査結果に基づくもの で、市場見通しの変化に対応したものではなかった。匿名で語った同関 係者によれば、大半の売却は実質金利が5、6月に上がり始める前に実 施した。こうした措置がなければ、オール・ウェザーの第2四半期マイ ナス幅は1.5ポイント大きかったはずだと付け加えた。同社広報担当の パラグ・シャー氏はコメントを控えた。

原題:Dalio Patched All Weather Fund’s Risk as U.S. Bonds Tumbled (1)(抜粋)

--取材協力:Katherine Burton. Editors: Josh Friedman, Christian Baumgaertel

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