福島第一原発汚染水対策に凍土遮水壁-完成は15年

東京電力福島第一原子力発電所の汚 染水対策として「凍土遮水壁」が浮上している。地中にパイプで冷却剤 を通す方法は1860年代に炭鉱で使われ始めた伝統工法。しかし、完成 は2015年で、どれぐらいの費用がかかるのか算定もこれからだ。

経産省資源エネルギー庁の試算によると、福島第一原発からは人体 に有害な放射性物質トリチウム、ストロンチウムなどを含んだ汚染水が 少なくとも毎日300トン、海に流出している。東電は汚染水対策で常に 後手に回り、選択肢も尽きていることから、安倍晋三首相は先週、「汚 染水対策は喫緊の課題」として国が対策の前面に出る方針を表明した。 経産省は凍土遮水壁について、14年度の予算請求を検討している。

凍土請負業者アークティック・ファウンデーションズ(米アラスカ 州)によると、凍土遮水壁は核兵器用のプルトニウムを製造していた米 テネシー州のオークリッジ国立研究所で使用された実績がある。

凍土の専門業者モアトレンチ(米ニュージャージー州)のエグゼク ティブ・バイスプレジデント、ジョセフ・ソプコ氏は「本当に効果があ る唯一の手段であることがしばしばある。ほかに有効な手段がなけれ ば、凍土に飛びつくしかない」と述べた。

実現性は不明

福島第一原発で検討されている凍土遮水壁は全長1.4キロメートル で、完成すれば世界最長。福島第一原発を手掛けた鹿島建設が14年3 月31日までに計画調査を完了することになっている。

計画によると、地中20-40メートルに約1メートル間隔で垂直パイ プを埋め、現場の冷凍設備で作った冷却剤を循環させる。これによって 凍土壁を作り汚染水の流出水を防ぐ。15年7月から約6年間、土を凍ら せる。

チャルノブイリや福島の原発事故を調査しているエネルギー・防衛 問題コンサルタント、リチャード・マクファーソン氏は「凍土は請負業 者にとって金のなる木だ。地下を凍らせておくだけのエネルギーは無駄 になる」と指摘した。

鹿島建設はブルームバーグの取材要請に対し、実証実験についての 事業計画が未決定の段階であるとして「これから資源エネルギー庁と詳 細な協議を進めていく」と述べるにとどめた。

モアトレンチのソプコ氏によると、凍土はトンネル建設などの一時 的な補強工事として一般的に使われている。例としてはニューヨーク2 番街の地下鉄、マイアミ港トンネルを挙げた。

菅義偉官房長官は7日の記者会見で、福島第一原発の汚染水対策に ついて「世界に例を見ない大規模なもので、国が一歩前に出る必要があ る」と述べた。

原題:Ice Wall Idea Studied to Halt Radioactive Water in Japan: Energy(抜粋)

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