【クレジット市場】三菱Uやみずほ融資伸び地銀抜く-アベノミクスで

三菱東京UFJ、三井住友、みずほ など都市銀行の国内貸出金残高の伸び率が、4年2カ月ぶりに地方銀行 を上回った。アベノミクスによる景気回復を受けて、大企業向け融資が 増えてきたとの見方が出ている。ただ、貸出金利の水準は低い状態が続 いており、収益性改善には時間がかかりそうだ。

全国銀行協会の7日の発表によると7月末の都銀5行の貸出金残高 は、182兆1863億円と前年同月比3.5%増。地銀64行は166兆6737億円で 同3.3%増だった。同協会の統計によれば、都銀の伸び率が地銀を上回 るのは09年5月以来。

都銀の貸出金残高は、デフレ脱却を掲げる安倍晋三政権発足直前 の12年11月末から増加に転換。伸び率は今年4月が前年同月比1.3%、 5月が1.8%、6月が2.8%と徐々に拡大し、10年6月からプラスが続き 6月末に3.1%だった地銀との差が縮まっていた。

ドイツ証券の山田能伸アナリストは、地銀と都銀の伸び率逆転につ いて「大きな変化だ」と指摘。「景気回復局面で最初に恩恵を受ける大 企業との取引が多い都銀の伸び率が高水準となった」と分析する。一方 で、地銀で増えているのは「住宅ローンなどで、まだ地方にはアベノミ クス効果が出ていない」とみている。

設備投資

景気の先行指標といわれる設備投資は増加傾向にある。日本政策投 資銀行の予測によると、大企業(2205社)の13年度の国内設備投資計画 は全産業ベースで10.3%増の15兆9454億円。前年度(2088社)は計画 の12.2%増に対して実績は2.9%増だった。

全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀頭取)は7月の定例会見で 「大企業を中心に設備投資が回復する環境は徐々に整いつつある」と指 摘。第2四半期以降は「企業や消費者のマインドが好転してきている」 とし、これを維持向上させていくには「政府による成長戦略の着実な実 行などが必要になってくる」と述べた。

新年度入りした4月以降は、買収を進める大企業などが銀行融資で 多額の資金を調達する動きも目立っている。ソフトバンクは米携帯電話 3位のスプリント買収に関連し、7月にみずほ銀や三井住友銀などから 約1兆円の融資を受けた。

こうした中、大手銀行グループの4-6月期決算では、貸出利息収 入など含む資金利益が増加。三菱UFJと三井住友、みずほの3グルー プ合計では前年同期比11%増の1兆1160億円となった。三井住友で投資 信託解約益が全体を押し上げた特殊要因もあり、第1四半期の額として は09年以来の水準となった。

低い収益性

しかし、都銀の収益力は低いままだ。ブルームバーグ・データによ ると、収益性を示す純利息マージンは邦銀3メガが13年第1四半期で平 均1%程度だった。これに対しアジア・環太平洋地域の総資産上位24行 では平均2.3%、米国の大手24行で構成するKBW銀行指数採用銀行の 平均は3.2%に上る。

日銀は8日開いた金融政策決定会合で、足元の景気について「緩や かに回復しつつある」とした前月の判断を据え置くとともに、長期金利 を低く保つ大胆な金融緩和策の継続を決めた。こうした日銀の超低金利 政策も背景に6月の国内銀行の貸出約定平均金利は過去最低の0.856% にとどまっている。

UBS証券の伊奈伸一アナリストは都銀などの融資について「現状 は、当面は期待できな利ざやの改善をボリュームでカバーしている状況 だ」と分析。大企業やM&A向けなどは増加傾向が続くとした上で「今 後のポイントは設備投資向けが増えるかだが、企業には手元資金もあり 借り入れが伴うにはまだ時間がかかる」とみている。

--取材協力 日向貴彦、油井望奈美 Editors: 平野和、谷合謙三、上野 英治郎

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