マリオは巨大グモに勝てるか-中国の据え置きゲーム解禁

ずんぐり体型に立派なひげと赤帽を かぶった中年男、任天堂のスーパーマリオが、中国のネット企業テンセ ント・ホールディングス(騰訊)の不死身の巨大化け物グモに中国で勝 てる、と投資家が信ずる理由はどこにあるのだろう。

中国が13年間続けてきた据え置き型ゲーム機規制の撤廃を検討して いる、と同国紙チャイナ・デイリーが1月28日に報じて以降、任天堂の 株価は36%上昇している。同規制はビデオゲームの暴力表現などの悪影 響から中国の若者を守るとの目的で継続されてきたが、この間無料のオ ンラインゲームや携帯端末に慣れ親しむ大量のゲーム世代が生まれた。

任天堂やソニー、米マイクロソフトといった据え置きゲーム機メー カーにとって、ハードウエアに何百ドルも払う消費者を獲得するために は長い上り坂が待ち構えている、と上海のゲーム開発会社スパイシー・ ホース・ゲームス(麻辣馬)の創業者、アメリカン・マギー氏は語る。

米ゲーム業界が2年間にわたる不振にあえいでいるだけに、据え置 き機メーカーは、100億ドル(約9700億円)市場の中国に空前の収益を 期待している。

「決着済みの市場」

オンラインやモバイル向けゲーム開発に移行する前にプレイステー ションやXbox向けゲーム開発を手掛けていたマギー氏は、「フェラ ーリのレースに象で挑むようなものだ」と語る。中国は「オンラインと モバイルによる無料プレイが既に勝利した市場」であり、こうしたメー カーは「決着がついた後に勝負しに来ることになるだろう」と述べてい る。

それだけではない。海賊版や検閲と規制のコストも据え置き機メー カーの足を引っ張る見通しだ。2000年から続いてきた据え置き機への規 制は、テンセントが提供する「リーグ・オブ・レジェンズ」のようなオ ンラインゲームの地位を支配的にした。

調査会社アナリシス・インターナショナルの統計によると、1-6 月の中国のビデオゲーム市場は30%増の385億元(約6070億円)で、う ちテンセントは21%のシェアを持つ。一方でNPDグループによると、 6月の米国のビデオゲーム小売売上高(ハードウエアとソフトウエア、 付属品)は、前年同月比15%減の5億9330万ドルだ。

中国で「リーグ・オブ・レジェンズ」など数多くのゲームは無料で 遊べるが、武器などのアイテムを追加購入したりアップグレードすると 課金される。こうした仕組みはタブレット端末やスマートフォン(多機 能携帯電話)に適しており、アナリシスによると、モバイルによるゲー ム市場は2倍以上の伸びを示して50億元となった。

任天堂に恩恵の見方も

米ウェドブッシュ証券アナリストのマイケル・パクター氏は、任天 堂のゲームソフトは暴力性が薄く、ハードも比較的高価でないので、中 国による解禁の恩恵を最も受けると指摘。「今後5年間で中国の中産階 層には5000万-1億台の据え置き機と、ほぼ同数の携帯ゲーム機が売れ る可能性がある」との試算を示している。

1月のチャイナ・デイリーの報道後の任天堂株価の上昇率は、東証 株価指数の24%を上回っている。過去2年間は逆に下回っていた。任天 堂広報担当の皆川恭広氏は、コメントを避けている。

原題:Monster Zombie Spider to Crush Super Mario’s China Dreams: Tech(抜粋)

--Edmond Lococo, 取材協力:Feifei Shen、藤村奈央子. Editors: John Brecher, Ben Richardson

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE