元JPモルガン行員を検挙か、「ロンドン鯨」事件で-関係者

米捜査当局はJPモルガン・チェー スのロンドン部門で2012年に発生した巨額損失に関連して、隠蔽(いん ぺい)を図ったとして週内にも刑事事件で元行員の検挙を発表する可能 性がある。事情に詳しい関係者が明らかにした。

情報は未公開だとして同関係者が匿名を条件に語ったところによれ ば、状況は流動的であり、誰が逮捕・訴追されるかは明らかでない。9 日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、検挙対象に同行のチ ーフ・インベストメント・オフィス(CIO)部門でトレーディング戦 略を統括していた元幹部ハビエル・マルティンアルタホ氏と部下のトレ ーダー、ジュリアン・グラウト氏が含まれていると報道。同紙はその 後、米検察当局が同行に対し制裁金や処分も検討していると伝えた。

事情に詳しい関係者がこれまでに語ったところによると、捜査は元 行員がトレーディング勘定を不正に記録し、帳簿上で意図的に水増しし たかどうかに重点が置かれている。米連邦当局は不正記録と書類改ざん に関連した罪に問うことを検討しているという。

事情に詳しい別の関係者は、グラウト氏はフランス国籍で同国に在 住しており、検挙した場合でも身柄引き渡しに関するフランスの法律が 英国よりも厳しいため、逮捕は難しい可能性があると指摘。事情を良く 知る別の関係者が匿名を条件に語ったところでは、スペイン国籍のマル ティンアルタホ氏はロンドンに在住。

「とんでもない失敗」

JPモルガンがロンドンのCIO部門の損失を最初に明らかにした のは12年5月。ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は信用 デリバティブ(金融派生商品)の持ち高管理で「とんでもない失敗」が あったと述べた。ポジションの巨大さから「ロンドンの鯨」の異名を取 っていたトレーダーのブルーノ・イクシル氏は、最終的に62億ドル(現 在の為替レートで約6000億円)余りの損失を同行に負わせた。

マルティンアルタホ氏はイクシル氏の監督責任者で、グラウト氏は イクシル氏のトレーディング勘定の記録を補佐していた。JPモルガン は3氏を昨年解雇し、報酬の一部返還を求めた。

米司法省と連邦捜査局(FBI)は12年5月以来、同行のトレーデ ィング損失に関して捜査を継続。事情に詳しい関係者によれば、米検察 当局はイクシル氏の協力を取り付けた。ロイター通信は8日、同氏は罪 に問われないだろうと報じた。

グラウト氏とイクシル氏の弁護士、JPモルガンの広報担当者はい ずれも捜査についてブルームバーグ・ニュースに対しコメントを控え た。マルティンアルタホ氏の弁護士にも電話と電子メールで取材を試み たが、今のところ返答はない。

和解条件でSECと交渉

ニューヨーク市マンハッタンにある米連邦地検のプリート・バラー ラ検事正のジェリカ・リチャードソン報道官、FBIのニューヨークオ フィスのピーター・ドナルド報道官も捜査についてコメントしなかっ た。

JPモルガンは巨額損失をめぐる米証券取引委員会(SEC)の1 年に及ぶ調査を終わらせるため、和解の最終的な条件についてSECと 交渉を進めている。協議について説明を受けた関係者2人が先週明らか にした。SECはトレーディングに関与した一部の行員を標的にする可 能性がある一方、経営トップは恐らく一般人に対し事実を偽ったり、誤 解を招いた責任を問う訴えを免れる見通しだという。SEC報道官の1 人はこの件についてコメントしなかった。

原題:U.S. Said to Plan Charges Against Former JPMorgan Employees (1)(抜粋)

--取材協力:Greg Farrell. Editors: Michael Hytha, 大久保義人

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