業績好調相次ぐ国内主力企業、アベノミクス効果、4-6月決算

アベノミクス効果に伴う円安進行や 株価上昇による消費マインド改善などを受け、自動車やエレクトロニク スなど国内主力企業の4-6月期の業績は市場予想を相次いで上回っ た。

ブルームバーグ・データによると、4-6月期の日経225銘柄のう ち、市場予測と比較可能な117社の1株当たり純利益の総額はアナリス ト予想を約16%上回り、上振れ率は2年ぶりの水準となった。また、す でに決算を発表した216社のうち、比較可能な213社の1株当たり純利益 総額は前年同期比で倍増した。今年6月末までの1年間で円は対ドルで 約20%下落した。

トヨタ自動車、ソニー、日立製作所など主力企業の純利益は、市場 予想を上回っており、過去15年間にわたるデフレからの脱却を目指す安 倍晋三首相にとって追い風となりそうだ。

みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジャーは日本企業 の「業績上振れのモメンタムは米国や欧州に比べて良好」だと指摘。 「設備投資は回復していく方向にあり、回りまわって個人消費も上向い てくるだろう」と述べた。

国内大手自動車メーカーの4-6月期業績は、円安効果などによ り、トヨタの純利益が前年同期比で倍増の5622億円となったほか、日産 自動車は同14%増の820億円だった。トヨタは純利益予想も8%上方修 正して1兆4800億円とした。ただホンダは国内販売の落ち込みや営業外 収支の悪化が響き、純利益が同7%減の1225億円となった。

円安で上方修正

電機業界も一様に為替メリットを享受した。ソニーは想定以上の円 安を理由に今期の売上高見通しを5%上方修正した。このほか日本郵 船、商船三井、川崎汽船の海運3社も円安効果で4-6月期決算では純 損益が前年同期から黒字転換した。

第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、4-6月の企 業決算の好業績は円安による為替差益が主な背景であり販売数量の増加 にはあまり結び付かなかったと指摘。その上で、「円安の数量効果が出 るには3四半期から1年くらいかかる」として、7-9月期決算にさら なる業績上振れが期待できるとの見方を示した。

12日発表の4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期 比年率で2.6%増と、3四半期連続でプラス成長となった。プラス幅は 市場予想を下回ったが、円安・株高などの経済効果で企業の経営環境が 好転しているほか、消費者の購買意欲も高まっていることが確認され た。

鍵は国内投資

円安による業績押し上げがどこまで消費者の景気信頼感を高め、日 本経済の再生につながっていくのかが今後の焦点。ジャパンインベスト の大和樹彦副調査部長は「消費者のセンチメントは回復してきている」 と分析。「給料は増えていないがボーナスは増えている。いつもよりち ょっといいものを求める傾向が出てきている」と語った。

海外市場で成長を目指したパターンから国内投資を増やすパターン に移行することが、デフレと高齢化に直面してきた日本経済の再生に向 けて重要な鍵を握るとみる市場関係者もいる。4-6月期のGDP統計 によると、企業の設備投資は前期比0.1%減と本格回復の動きはまだ見 えていない。

岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは「企業が設 備投資を拡大して内需を盛り上げていくべきだ」と話す。また「想定為 替レートと実勢レートの乖離(かいり)が小さくなってきており、下期 はそこまでの株価上昇は期待できない」と述べ、株式市場では「設備投 資を増やすような前向きな企業は評価されて買われるだろう」と指摘し た。

--取材協力:安 真理子、藤村奈央子、天野高志、Chris Cooper、 向井安奈 Editors:中川寛之, 山村敬一, 杉本等

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