4-6月は3期連続のプラス成長、予想は下回る-消費がけん引

今年4-6月期の実質国内総生産 (GDP)速報値は、前期比年率で2.6%増と、3四半期期連続でプラ ス成長となった。政府の経済政策「アベノミクス」に伴う景況感の上向 きや株高などの資産効果で消費者の購買意欲が高まり、円安で企業の輸 出環境も改善している。

内閣府が12日発表した同四半期のGDP速報値は物価変動の影響を 除いた実質で前期比0.6%増となった。ブルームバーグ・ニュースによ る事前調査の予想中央値は、前期比が0.9%増、年率換算では3.6%増だ った。需要項目別では、GDPの約6割を占める個人消費が前期 比0.8%増と引き続き堅調で、全体をけん引した。

9月に公表される4-6月期GDPの改定値は、来年4月の消費税 率引き上げを安倍晋三首相が最終判断する材料の1つとなる。速報値の プラス幅は市場予想を下回ったものの、記者会見した甘利明経済再生担 当相は「判断材料の1つとしては、引き続き良い数字が出ているという 認識だ」と述べた。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後、予 想を下回った最大の原因は在庫投資のマイナス寄与だとし、「内容はそ う悲観視すべきものではない」と指摘。ただ、「消費増税の行方を判断 する『決め手』にはならなかった」との見方を示した。

日本政策投資銀行の田中賢治・経済調査室長は「今回は、まず消費 が盛り上がり、景気持ち直しを主導したことが特徴的」と述べた。円安 による追い風で輸出も増加したとし、「内外需ともバランスよく成長に 貢献した」とみている。

設備投資押し上げに注力

一方、企業の設備投資は前期比0.1%減と本格回復の動きは見え ず、住宅投資も0.2%減。公共投資は1.8%の伸びにとどまった。甘利経 済再生相は会見で、住宅・公共投資については進ちょく状況が遅れて統 計に反映される影響があると指摘した上で、「秋の国会でやるべきは設 備投資を強力に推進させる策」と表明。「税制、予算、金融、あらゆる 手段を使って設備投資が堅調に推移、拡大していくことを期待してい る」と述べた。

財貨・サービスの輸出は円安を背景に3.0%増、輸入は1.5%増。 GDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度でみると、国内需要(内 需)はプラス0.5ポイント、輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需) はプラス0.2ポイントだった。民間在庫はマイナス0.3ポイント。

生活実感により近いとされる名目GDPは前期比0.7%増(年 率2.9%増)で、実質が名目を上回る「名実逆転」現象が解消された。 総合的な物価指標であるGDPデフレーターは前年同期比0.3%低下し た。

消費増税の判断

日本銀行は先月11日開いた金融政策決定会合で、景気判断を「緩や かに回復しつつある」と7カ月連続で上方修正。2年半ぶりに「回復」 という表現を復活させた。政府も7月の月例経済報告で、景気は「着実 に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる」として、3カ 月連続で上方修正した。

こうした立ち直りつつある経済への影響を懸念し、消費増税に対し 見直しを求める意見も出ている。内閣官房参与の浜田宏一米エール大学 名誉教授は7日のブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで、消 費増税がアベノミクスの効果を抑制する重大なリスクがあるとの懸念を 示した。

これに対し財政健全化を求める立場から予定通り増税すべきだとの 声も強い。日銀の黒田東彦総裁は先の記者会見で、脱デフレと消費増税 は「両立する」とした上で、先送りは日銀による「財政ファイナンス (穴埋め)」との疑念を招き、金融緩和効果が「減殺される恐れがあ る」とけん制した。

農林中金総合研究所の南武志・主席研究員はGDPの結果につい て、消費増税を決断するには「若干物足りなさが残る数字」と指摘。 「企業の国内での設備投資行動の足腰の弱さは気掛かり」だと述べた。 第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは、GDPが予想を下 回ったのは在庫投資の下振れなどが要因のため、「特に懸念すべき内容 ではない。景気は着実に回復している」と評価。9月の改定値で修正さ れる見込みの在庫投資や設備投資の数値を注視する考えを示した。

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